ぺヤングのゴキブリ混入事故について

ぺヤングのゴキブリ混入事故が大騒ぎになっています。

「食品業界の人間としてはスルーする訳にはいかないな。」と思いつつ、メンドクサイんだよな〜というのが本音でした。


しかし本日コチラの増田を見て⇒ペヤングゴキブリ騒動について元食品メーカー営業・現ニートが言いたい

元食品メーカーの営業がこんなに説明してるのに、製造現場の人間がスルーする訳にはいかないと思った次第です。

この増田の主張は良くわかるんだが、かなり間違っているのでとりあえず指摘しておこう。


まるか食品の工場は汚いよ

ネットで出回っているまるか食品の製造工程画像ですが、あれが現役ならばまるか食品の製造工程はかなり汚い部類に入る。


直接製品に触れる部分はさすがにSUS(ステンレス)製の部品を使っているが、設備を支えているフレームは鉄製で表面にペンキが塗ってあります。

食品メーカーとしてはダメですね。ペンキは剥離して落下しますから、こういう環境だと異物として製品に混入しちゃいます。

他にもペンキが塗ってあるフレームや支柱が多過ぎますね。

昭和50年頃の設備なら納得出来ますが、あれが現役だなんてありえないですね。

しかも設備下の排水溝・・・付近が余りにも不衛生だ。グレーチングも一部無くなってるな。

他にも指摘事項が沢山あるんだが、いくらなんでもこの画像の設備は現役ではないだろう。

恐らく10年以上昔の設備だと思います。


「おしゃれなインテリアや壁紙って実は衛生には全く関係ないんですよね。」という間違い

元営業には判らん事なのかも知れませんが、お洒落なインテリアや壁紙が衛生に関係ないなんてありえません。

食品工場内に無駄なインテリアや壁紙なんてあってはならない物です。常に「異物になる」という意識が欠如している証拠です。

増田は必要ないという意味で「おしゃれなインテリアや壁紙って実は衛生には全く関係ないんですよね。」と表現したつもりでしょうが、そういう感覚が食品業界では命取りになります。

工場に隣接している応接室とかロッカーならば、インテリアや壁紙もOKですが、製造現場にインテリアや壁紙なんて言語道断です。

出来れば全面ステンレスにするべきです。それが一番なんです。しかし費用が掛かるから簡単に「全面ステンレスにしましょう。」なんていえません。私が食品衛生指導員として保健所の手下をやっていた時は「徐々にステンレスに張り替えていきましょう。」と指導していました。

現在の職場でも、全面ステンレスの目標は達成出来てません。それでも徐々に改善してる途中なんですよね。


壁や天井でもこれほど神経質になっているのに、インテリアなんて絶対にありえませんね。

私はインテリア自体が異物だと認識しています。


まあ一般家庭の台所よりは衛生的だとは思いますが、まるか食品の製造工程を見なきゃ判りません。出回っている画像の設備が現役ならば、衛生的とは言い難いですけどね。


まるか食品の対応について

まるか食品の対応については、増田の意見に賛同するし、保健所もそういう指導をしてましたね。少なくとも5〜6年前までは!

ただし現在の食品業界でISOはFSSCほど評価されてないです。当然と言えば当然なんですが・・・

ISOはほぼ書類審査だけで通るらしい。(コレは私が経験した事じゃないので、断言は出来ません。聞いた話です。)

いまはまだISO認証を取得してるという事が重要視されていますが、恐らく5年後には「食品メーカーならISO認証じゃダメだよ。FSSC認証が必要だ。」という風潮になるでしょうね。

この辺は、元営業だから最近の流れが理解出来てないんだと思います。これはしょうがないですね。


しかし・・・ツッコミどころが多すぎて嫌になってきた・・・

とりあえず、増田が最後にまとめている部分に突っ込むかな。


異物混入などの不良率が%なんてありえない

%と言うのは100分のいくつかを示す単位です。食品業界で不良率が%で表示される事はありません。益田はどんな会社で働いていたのか疑問に感じるレベルです。

食品業界では、不良率やクレーム率はppmで表示することが多いです。

当ブログの読者ならppmは次亜塩素酸ソーダのエントリで書いたので説明要らないかな。

ppmはパーツパーミリオンの略です。100万分のいくつかを示す単位です。

食品業界では不良率やクレーム率は%ではなく、ppmで表示されます。

数%の不良品とかありえませんよ。増田は営業だったかも知れないけど、その程度の知識が無いところを見ると、1年もたずに辞めちゃったな。


検査について

ゴキブリが丸ごと入っているなんて、それはちょっとありえない。

さすがにX線検査機ではチェック出来なかったでしょうけど、画像処理検査だと間違いなくチェック出来ていたと思いますよ。

今どきの食品メーカーなら、製品検査はX線検査機、画像処理検査機、ウェイトチェッカーと、少なくとも3つの検査工程でチェックしているよ。

あのサイズの異物が検出出来ないのは画像処理検査を行っていないか、または基準を甘く設定し過ぎているかですね。

食品製造において、異物混入事故は毛髪が圧倒的に多いというのは増田と同意見だけど、昆虫類の混入は、極めて小さな虫が多い。ショウジョウバエでも大きな部類に入る。あと硬質異物は部品の欠片や人の爪など、軟質異物は剥離したペンキの欠片などがあります。

今回はザッと思いついた事を思いつくまま書きましたが、近いうちにキチンとまとめてみようと思います。

少なくとも今回のようなゴキブリが丸々一匹混入するなど、今の食品製造ではありえない事故です。あんなの画像処理で検査してれば100%検出されて、出荷される事はないと思いますよ。


追加 12月14日

ぺヤングのゴキブリ混入事故の要因を探る検証と改善項目の提言をまとめたので報告です。

ぺヤングのゴキブリ混入事故の要因を探る検証と、改善項目の提言