マクドナルドの異物混入事故が止まらない件について

さっさと書けよ!という声無き声に対応する必要が在るのかどうか判りませんが・・・

マクドナルドの異物混入事件が続いている。

マクドナルドの異物混入事件は、私の視点から見て2種類の問題に分けて考えるべきだと感じています。


ひとつは加工工場で起きた異物混入と、もうひとつはマクドナルドの店舗で起きた異物混入です。

この二つは消費者にとっては同じ異物混入事件なんですが、製造者の問題と提供者(マクドナルドの各店舗)の問題を分けて考えるべき案件だと思います。


工場での異物混入について

チキンナゲットの異物混入は、おそらく製造段階での混入でしょう。

チキンナゲットの中に入っていたビニール片は、チキンナゲットの製造段階で混入した可能性が高いです。

マクドナルドのチキンナゲットは東南アジアの製造工場で加工された商品です。タイの工場で加工されており、ビニール片が混入したのもタイの工場でしょう。

タイの工場でも、日本の技術者が出向して指導や監督を行っていると思いますから、製造設備や衛生基準などは日本国内の工場と大きな違いは無いと思います。

ただし工場で働く従業員は現地採用されているはずですから、どうしても日本ほど厳しい基準で製造・検査が行われているとは思えません。

日本の衛生や安全に関する基準が、世界中何処に行っても通用するはずが無いんですが、それを統一するという意味でFSSC22000が必要になってくるんですよね。

タイの工場がFSSC22000の認定を受けていたかどうかは判りかねますが、現時点で私が把握している異物混入件数を考えると、相当に厳しい基準は設けられていたように思います。


異物混入のクレーム件数を考えると、FSSC認定工場でも1〜9ppm(百万分の1〜9件)なら優秀な工場だと思います。

何百万個の製品を出荷して、1〜2件のクレームならかなり優秀な工場だと思います。しかもビニールの色分けをして混入工程を判り易くしている点で、ISO22000かFSSC22000を強く意識した工場だといえます。


残念ながらそれでも異物混入件数をゼロにする事は出来ないというのが現実なんです。

ただしマクドナルドの製品を製造しているタイの工場は、かなり優秀な工場でISO22000かFSSC22000を強く意識した前向きな工場だと思います。

異物混入クレームが1〜2ppmならばの話ですが・・・


消費者にとっては不快な事故ですが、製造段階での現場の努力は認められる。少なくとも私にはマクドナルドの製造工場を批判する事は出来ません。

それでも異物混入ゼロを究極の目標にするべきだし、そういう製造者の姿勢が重要だと思います。


各店舗で起きた異物混入

マクドナルドに限らず、飲食業の異物混入事故って多いんですよね。

今回明るみになっているマクドナルドの異物混入事故は、この店舗内で起きた異物混入事故が多い。


製造工場には厳しすぎる程の衛生・安全基準が設けられているのに、直接商品を提供する店舗には非常に甘いというのが現状です。

街の飲食業であれば、多少異物混入があっても大騒ぎにならないケースばかりです。

個人が経営する飲食店の中には、家庭の台所と大差ないような衛生状態の厨房も多いです。

それでも、毎年保健所が厨房や調理器具の検査を行っています。

私も食品衛生指導員をしていた時は、保健所と一緒に店舗を回り大腸菌の検査などを行っていました。

まな板や包丁などに付着した菌を採取して指導をしているんですよね。

役所としてはやるべき事はやっているのですから、家庭の台所よりは安心出来ると思います。まあ酷いところもあるのはあるし、保健所の指導など知らん顔してる飲食店も少なくは無いんですが・・・

個人的な見解になりますが、寿司屋や割烹など生ものを提供する飲食店は割と意識が高いですが、加熱を前提とした飲食店だと少々衛生に関する意識が低い傾向があるように感じます。

加熱するから大丈夫という意識が強いんでしょうね。


マクドナルドも加熱が前提ですから、お刺身などの生ものを扱う飲食店より意識が低かったのかも知れません。

またマニュアル化されたルーティンワークを繰り返す仕事の事をマックジョブと呼んだりします。

素人でもマニュアル通りにやれば、それなりのクオリティーを保つことが出来る。

しかしマニュアル化されていない事に関しては、従業員のクオリティーは向上しないでしょう。

いま騒ぎになっているマクドナルドの異物混入事故は、マックジョブであるがゆえに発生した事故なのかも知れませんね。

マクドナルドは世界中に展開しているチェーン店ですから、個人経営の飲食店と違って騒ぎが大きくなるし、騒ぎになったら限りなく大きく拡大し続けるという事でしょう。

クレーム率として考えると、10件や20件ならクレーム率は1〜2ppm程度なんじゃないかと思います。

それでもクレームゼロを目標にするべきなんですが、マックジョブのアルバイトにそれを求めるべきかどうか?私には判断しかねる問題です。


マクドナルドほどの企業なら、本部に専門家がいるでしょうから「専門のスタッフが店舗の従業員に対して徹底した指導を行うしか無いのかな」と思います。

異物混入というクレームは「まさかこんな物が!」と、言葉を失うような信じられない物が混入する事も少なくありません。今回のマクドナルドの異物混入事故も信じられないような異物が見つかっていますね。


このような店舗で起きた異物混入事故に関しては、従業員の教育という方向から対策していかないといけないと思いますし、従業員教育なくして店舗内の異物混入対策は考えられません。

経験のないアルバイトでもマニュアル通りに働けば、最低限のクオリティーは確保されますが、食品衛生や安全という観点からはマックジョブというのは効果が期待出来ないシステムなのかも知れません。


まとめ

まだまだ情報が出揃っていないので、総括するのは難しいです。

マクドの他にも冷凍食品の異物混入事故も話題になっていますが、あとすこし様子を見て総括したいと思います。

冷凍食品の異物混入は、製造現場での混入だと推測しておりますが、まだまだ情報が足りませんし、野菜に付着した昆虫の除去などは更に難しい問題ですので、現時点では有効な対策等が思いつきません。申し訳ない気持ちですが、暫く時間を頂きたいと思います。