選択肢についての雑感

私は佐賀3区の悲哀を嘆き続けてきた。

佐賀3区は保利王国とも言われる事がある選挙区で、保利茂氏から保利耕輔氏が盤石の地盤を築いた地域だ。


佐賀3区では、長い間保利耕輔氏VS共産党候補者の一騎打ち選挙が繰り返された。

郵政選挙では、小泉総理の郵政民営化に異を唱えた保利耕輔氏は自民党の公認を得られなかった。

その時、小泉自民党が刺客として公認したのが広津素子氏だったが、保利耕輔氏は圧勝した。

今でも印象に残っているのだが、この郵政選挙でも保利耕輔氏は「比例は自民党にお願いします。」という主張だった。私は「人が良いにも程がある!」と思ったものだ。

更に、次の選挙では自民党の公認を得て出馬したのだが、選挙期間中に保利耕輔氏を見たのは一度だけ。それも「私が保利耕輔です。」と名前だけを叫んであっという間に去っていった。

それでも圧勝する程の盤石の地盤である。そりゃ〜他の政党は候補者を出したくないですよね。

結局私が知る限り、保利氏の対立候補と言うのは広津素子氏(自民〜みんな)と共産党の候補者だけだったように思う。


当Blogでは、たびたび佐賀3区の選択肢の無さを訴えてきた。私自身は保利耕輔氏に不満があった訳ではないのだが、選択肢が無いという状況には不満があった。

そして今回からは佐賀3区は消滅して、佐賀2区としてスタートする。

自民党からは、前佐賀県知事古川康氏、民主党からは大串博志氏、共産党からは御厨さとみ氏の3人が出馬する。

今回は選択肢がある選挙と言える。前佐賀県知事と現職の国会議員の対決だ。私の見解では、古川氏が順当に当選し、大串氏が比例で復活当選するだろうと見ているが・・・


佐賀県の選挙区が減った事は残念だが、選択肢が出来たという事は嬉しい事だ。

しかし、日本中ではこんな状況らしい。
「自共のみ」選挙区が急増 有権者「選択肢少なすぎる」


私は旧佐賀3区の人間なので自分の選挙区だけを注視していたが、佐賀3区の悲哀は日本全国で潜在していた問題だったんだと感じた。

共産党が負ける事を前提で候補者を擁立する事によって、現在の日本の選挙制度は維持されている。共産党が捨て身の立候補をする事で、我が国は辛うじて民主的な選挙が行われているのだ。


よく「共産党が全選挙区に候補者を擁立する事で、反自民の票が割れ自民党に利している。」という事を、恥ずかしげも無く言い切っちゃう政治家や政治評論家を見かけるが、「それではあなた方は今まで何をしていたんだ!」と言いたい。

有権者に選択肢を提供し続け、日本の選挙制度を維持してきた功労者に対して、そんな言い方があるだろうか?共産党の捨て身の立候補が無ければ、自民党候補が無投票で当選していたのだ。選挙なんて行われていなかったんだ。

共産党が全選挙区に候補者を擁立する事で、反自民の票が割れ自民党に利している。」などとほざいているような恥知らずな連中を、私は激しく軽蔑する。


候補者が自民党共産党だけ!という選挙区においては、今後合併の検討をする事をお奨めする。地域選出の議員が一人減る事になるが、選択肢の無い選挙を繰り返すよりは、選択肢の多い選挙の方が価値がある事もある。