経産省の役人が机上の空論で仕事してるフリをしてる件

再生エネルギーの活用は大いに結構な話なんだが、買取価格が販売価格の2倍近い高値ってのが大問題なんですよね。

各家庭の電気料金は契約内容で若干違うものの、我が家を基準にしたら1kw/h当たり22〜25円程度になる事は以前書いた。

太陽光発電等の売電制度(再生エネルギーの固定価格買取制度)が利権の温床になる前に


この記事は今年の6月に書いたものだが、現時点では完璧に利権の温床になっており、再生エネルギーの固定価格買取制度の契約者は、既得権益を得たといって良い。

開始する前から破綻してる制度ではあるが、撤廃するのは非常に難しいからだ。この制度が存続する限り、契約者は儲かり電力会社は損をし続ける。

そして電力会社の損は利用者が電気料金の値上げという形で押し付けられるのである。


受け入れ中止と経産省の対応

九州電力などでは再生エネルギーの新規受け入れを中止しているんですが、経産省の役人は再生エネルギーの固定価格買取制度の間違いを認めたくないばっかりに、とんでもない事を言い出しました。

揚水発電利用率わずか3% 経産省「再生エネ蓄電に活用を」


揚水発電の利用率が3%だというのは間違っていないだろう。むしろ3%稼動している事に驚いたくらいです。


揚水発電

揚水発電原子力発電と密接な関係があり、原発が止まっている状況で3%も稼動しているのが不思議なくらいです。


揚水発電を語るには、まず原発の特性から語らなきゃいけないので、軽く説明しておくと、原発は一度稼動すると暫くの期間は稼動しっぱなしになる。

昼間は需要があるので出力を上げ、夜間は需要が無いので出力を下げるという事が出来ません。

ちなみに火力発電も同じように、簡単に出力調整が出来るような発電ではありません。


そこで需要の少ない夜間の電力を蓄電して、需要の多い昼間に供給する方法として採用されたのが揚水発電です。

電力需要の少ない夜間に下流のダムから上流のダムにポンプで水を汲み上げます。

電力需要のピーク時(日中)に上流のダムから下流のダムに放水して発電するのが揚水発電の原理です。


ちなみに、水を汲み上げる為に必要な電力を100とするなら、発電される電力は約70です。約30%の電力をロスするという事です。

原子力発電も火力発電も出力が調整できない構造なので、電力需要が少ない夜間には供給過多になる事は避けられない。

余剰電力を捨てちゃうよりは、70%でもいいから蓄電しようというのが揚水発電なんですよね。

原発(火力も含む)と揚水発電はワンセットと考えるべきなんです。


ちなみに太陽光発電の供給と電力需要のピーク時はほぼ同じ。

太陽光発電で得た電力を、わざわざロスの大きい揚力発電で蓄電する意味は全く無い。

しかも販売価格より高い価格で買取してるのに、なにが哀しくて30%もロスする必要があるのか?

経産省のお役人が揚水発電の仕組みを知らない筈はないし、なぜ今回のような間抜けな集計を行ったのか意味が判らん。

机上の空論(しかも中身が軽薄)で試算して、仕事のフリをしているだけなんじゃないですかね。


追記

id:katabiragawa氏(二級河川)のブコメ

なんで火力が活用してないのか説明してくんない?わしはそっちが気になるでw

と質問されたので答えます。


火力発電は揚水発電に活用されています。現実には「されていた。」と考えるべきかも知れないですが、揚水発電に利用する電力の供給源としては、原発より火力の方が大きかったはずです。

なにぶん30%も電力をロスする蓄電方法ですから、火力発電所を増やしてまで揚水発電を行うメリットとういうか余裕が無いだけでしょうね。