太陽光発電等の売電制度(再生エネルギーの固定価格買取制度)が利権の温床になる前に

最近「太陽光発電等の売電制度(再生エネルギーの固定価格買取制度)って利権の温床になるよな!」って感じ始めています。

ちなみに売電価格は年々下落傾向なんですが、現在でも1kwあたり40円程度で売電が行われています。

それに対して、電力会社が個人に請求する電気料金は基本料金込みで20円台です。

個人利用者に対する請求は使用電力×単価+基本料ではありません。ちなみに我が家に届く九州電力の請求書を見てみると基本料金+電力量料金+再エネ賦課金等になっています。

電力量料金は120kwまでが2,055円60銭で121kw〜300kwまでが3303円98銭で、燃料費調整額が364円42銭になっており、電力量料金は計5724円です。

なぜ単純に使用電力×単価+基本料で計算しないのか判りませんが、そういう契約なのだから従うしかありませんね。


電気代の計算がわかりづらいのは良いとしても、問題なのは電力会社が個人から電気を買う売電価格が40円程度なのに対して、電力会社が個人契約者に売っている電気代が何故20円台なのかという事です。

個人の電気代は単価が算出出来ないので、今回は単価が一番安くなる300kw/月の場合と一番高額になる121kw/月の場合を両方産出してみましょう。


電気料金の単価が一番安い場合

300kw使用した月が1kwあたりの単価が一番安くなります。この場合、電気代は1458+2055.60+3303.98+364.42=5724円になります。5724円÷300kw=19円08銭です。

なんと、電力会社が購入する売電価格の約半分の単価で個人利用者に電気を売っている事になります。


電気料金の単価が一番高い場合

電気料金の単価が一番高くなるのは、同じ使用料を支払うのに一番電気の使用量が少ない月ですから、5724円÷121kw=47円31銭になります。この場合だと採算としては充分でしょうね。


我が家の契約内容では、1kwあたりの電気代の単価は19円〜47.3円という事になります。

我が家の2014年5月の使用電力は266kwだったので1kwあたりの単価は21.5円、ソコソコ安い単価で電気を使っている事になります。

しかし、売電価格が1kwあたり40円程度なのに対して、使用料金が21.5円ってどういう事でしょうか?

40円で仕入れた商品を21.5円で販売するような馬鹿はいませんよね。

そんな事をすれば、電力会社なんてアッという間に大赤字で破綻してしまいます。

なぜこんな馬鹿げた事が行われているのか?なぜ40円で仕入れた電気を20円台で販売出来るのか?という疑問が沸いてくるでしょう。

理由はある程度判っています。ひとつは、他の発電方法で安く電力を作っているからです。現在は原発が稼動していないので、火力、水力が主な電源です。

原発が稼動出来ないから電気力金の値上げを行いましたが、電力会社による電力購入(売電制度)を止めれば値上げの必要はなかったはずですが、そうすると決定的に電力量が不足しちゃうんですよね。今でもギリギリだしね。


さらに電力会社の売電制度には、国や自治体からの支援も行われている。その支援の財源は利用者が負担しています。詳しくは再生エネルギーの固定価格買取制度あたりを参照してください。


また、政府や自治体は太陽光発電をやろうとしてる人がソーラーパネルを購入する時に、その費用の一部を負担するようにしているんですよね。

太陽光発電による売電は政府や自治体の補助がなければ採算が合わないんです。他の電源よりも高い単価で売電してるにも関わらず、それでも公的な補助金が無ければ採算が合わない。

現在の技術では、太陽光発電は費用対効果が悪いどころか、やればやるだけ赤字になるコストの高い発電方法です。


その採算の合わない太陽光発電を政府や自治体が国民の金を使って、電力会社や売電する個人を支援しているのが現状です。

儲かるのはソーラーパネルの製造業者や施行業者などの業者と、売電で小金を稼いでる人達だけです。

今後の技術向上によって太陽光発電のコストが安くなり、売電価格が適正(少なくとも販売価格以下)になるようでしたら、現在の負担は未来への投資と考える事も出来ますが、とてもじゃないけど10年や20年で売電価格が販売価格を下回るほどの技術向上が出来るとは思えません。

将来的にも採算ベースに乗らないであろう太陽光発電を政府や自治体が強力にプッシュするのは何故か?よく考えてみる必要があると思います。


原発の利権ばかりを批判する人がいますが、各種の電源にはびっしり利権が張り付いています。火力には燃料系の利権、水力にはゼネコン系の利権、原子力には土地提供者や住民の利権がツキモノです。

私自身は「利権が云々」という論争はナンセンスで不毛だと考えているんですよね。結局は利権団体による利権の奪い合いに過ぎないからです。そんな不毛な利権闘争に巻き込まれるのはゴメンだし、原子力発電の利権が火力発電の利権団体に奪われようと、私自身は電力さえ安定供給されていれば全く不満はないんです。


ただ今回太陽光発電の利権について書いたのは、新たな利権を生み出す事に抵抗を感じているからです。各種の電源にびっしりと張り付いている利権団体をこれ以上増やす事が、果たして国の将来の為になるのか疑問です。

太陽光発電が将来的に採算ベースに乗るような技術革新が期待出来るのであれば話は別ですが、現在のコストと電気料金の差額を考慮すれば、10年や20年で電気料金より安いコストで太陽光発電が出来るとは考えられません。

むしろ太陽光発電への支援が国民の負担になり続ける可能性が高い。

そんな期待値の低い電源に、新しい利権を生み出す必要があるのかどうか疑問です。


まあ環境問題とかも絡んでくるので、一概に費用対効果と利権だけで語れる話ではないのですが、太陽光発電が巨大な利権の巣窟に成長する前に、なんらかの対策を講じる必要があるんじゃないかと考えているんですよね。


注意:今回計算した売電価格と使用料金は九州電力のもので、電力会社によっては多少の違いがあり、また契約内容によっても違いがあります。電気を沢山使う工場などでは個人よりも更に安い単価で契約しているようです。