臨時国会 所信表明演説

所信表明演説を聴いて

鳩山総理は、所信表明演説で「天下り・渡りの全面禁止」を主張していた。

私は、天下りや渡りについて「絶対にダメだ!」という印象は持っていない。

ついでに「今まで民主党天下りや渡りについて、徹底的に反対していたし、民主党が政権与党になったのだから、今度は天下りや渡りを全面的に禁止しなきゃならない。」とも思っていない。



過去に反対した天下りや渡りについて、明確な理由を述べて謝罪すれば良いだけの話であり「ごめんなさい」で済ませてもいいと思っている。

しょうもない拘りで、有能な人材が登用出来ないほうが国益に反すると思うからだ。



所信表明で改めて天下りと渡りを禁止すると明言

しかし、総理は所信表明演説でハッキリと「天下りや渡りを全面禁止する」と明言した。

不思議な話である。


日本郵政の社長人事で、西川氏の後継者として斎藤次郎氏の名前が挙がっていて、総理自身も「おどろいた。」と言っていた。

しかし、「大蔵省を退職して14年がたっているので天下りにはあたらない。」という見解を述べていたが、そんなのは詭弁である。



斎藤氏は天下りしているし、今度は渡りである

斎藤次郎氏は大蔵省を退職した後、2000年5月より東京金融先物取引所理事長に就任している。

東京金融先物取引所が大蔵省(現・財務省)の外郭団体である以上、2000年の東京金融先物取引所の理事長就任は天下りである。



2004年に東京金融先物取引所が株式会社化した事に伴い、社長に就任した事を渡りと言う人がいるが、実際には株式会社化しただけなので渡りにはあたらない様に思う、しかし今回の日本郵政社長が実現すれば、明らかなる渡りである。

総理はこの事を容認するのだから、天下りや渡りを禁止するという所信表明に反する行為だと思う。



なぜ、敢えて天下りや渡りを全面禁止すると明言してしまったのか?

ちょっと考えてみたが、全く意味が判らない。



原稿を読みまくる鳩山首相

しかし、原稿を間違えないように気遣いながら演説していた事を考えると、口が滑った訳でも無さそうだ。

そう言えば、野党時代は「自分の言葉で話す」事を重要視して、原稿を読む麻生総理にクレームをつけて居られたが、今回は必死で原稿を読んでいたな。



しかしまあ、それは正しいと思う。大切な演説で思いついたことをペラペラ喋るのは、褒められた話じゃない。

首相になれば原稿を用意して、何度も何度も見直して発言するべきなのだ。



野党の代表なら許される事でも、首相になれば思いつきで喋る事など許されないのだ。

自民党の支持者諸君には「口先だけで、実際に首相になったら原稿読むんかい!」と思っておられる人もいるだろうし、その気持ちは判るけど、やっぱり原稿を用意して精査に精査を重ねて演説するべきなんだ。



野党時代に、麻生総理を批判していた事は、国会で追及された時に「麻生さん、貴方と同じ立場になったら、原稿を読むことが大事だったと気がつきました。ゴメンね。」って謝ればいいと思う。



お坊ちゃまの鳩山総理が素直に謝罪出来るかどうかは見ものだけどね。

でも、なんでプロンプターを使わなかったのだろう。

鳩山さんなりの見栄なんだろうか。



謝罪はしないといけないね

しかし、原稿を読みまくっていた事は、誰の目にも明らかだし、謝罪は必要だよね。

あの長文を暗記するのは不可能に近いけど、その事を批判していたのは鳩山さんご本人だしね。



斎藤氏はダミーかも・・・

そんな事を考えていたら「もしかしたら?」という推測が浮かんだ。

日本郵政の社長人事の候補者は、斎藤次郎氏以外にも存在するのかも知れない。

そして、本命は別の人物だと言う推測である。



斎藤次郎氏を西川氏の後任に据えるように見せかける事で、野党は「天下りや渡りは禁止するって言ったじゃないか。」と批判する材料を集めるだろう。

そして、実際には斎藤氏以外の人物を社長にしてしまうという作戦かもしれない。


斎藤氏だと思い込んだ野党は、他の人物を日本郵政の社長に据えられた場合、準備が出来ずに右往左往する事になり、大した追及も出来ずに容認せざるを得ない状況になるだろう。

なかなかの策士である。



野党は欺かれるかも知れない

水曜日から始まる国会で、野党は郵政人事を追及するだろうが、実際は別の候補者がいるのなら、政府にとっては痛くも痒くも無かろう。

必死で追及した野党の連中が間抜けに見えるだけである。



小沢氏だったら、この程度の戦略は簡単に思いつくだろうな。

しかし、メディアは追及するだろうな。「鳩山総理がまたブレた!」って。

確かに、有権者の印象も良くなる事は無い作戦だし、やっぱり無いかな。



納得出来ない日本郵政の社長人事

しかし、何処をどう考えても納得出来ない人事であり、日本郵政問題はまだまだ紛糾しそうですね。

東京金融先物取引所が、財務省の外郭団体じゃなかったら問題が無かったのか?といえば、それでも問題ありだしね



しかも、汚職事件で厳重注意を食らった人物なので、優れた人物という評価も信用出来ないんですよね。

また、大蔵省時代には実質消費税7%を提案した人物だし、しかも消費税7%だと印象が悪いので福祉税とかいう言葉を使って、国民を誤魔化そうとした人物だしね。



私は、斎藤次郎氏の日本郵政社長就任には断固反対なのである。

個人的に斎藤氏に恨みがある訳じゃないし、西川氏を冷遇したので民間から招聘しようにも引き受けてくれる人物が居ない事も承知している。

天下りや渡りだって、優秀な人物なら問題ないと考えている。



それでも、斎藤次郎氏の日本郵政社長就任には断固反対なのだ。

あまりにも不透明な人事であり、ご本人は眉間に傷を持つ人物なのだ。