小渕氏の観劇会費用疑惑は専門家じゃなきゃ解明出来ないと思う

小渕優子氏の観劇会費用疑惑について感じた事を書いてみたいと思います。

帳簿上に不備があった事は間違いないし、その不備に気がつかなかったのだから、小渕氏は責任を問われるべきだとは思いますが、なんか一部の人達が判ってない印象を受けたので書こうと思ったんです。


政治団体の収支報告

判ってない一部の人達は、政治団体の収支報告を一般家庭の家計簿と同じ感覚で見ているんだと思いますが、実際には全く別物と考えるべきでしょう。

そもそも、一般家庭の家計簿は収入源が限られているから、収入の部の勘定科目は多くても3〜4項目、それが企業の貸借対照表や団体の収支報告書だと多ければ10項目以上になる事もある。

支出に関しても、家計簿なら食費・光熱費・通信費など収入よりは多いけど、勘定科目は多くて12〜13項目くらいでしょう。大雑把に「生活費」として一括りにしちゃう人もいるでしょうしね。

ところが貸借対照表や収支報告書だと、支出の勘定科目が滅茶苦茶多かったりします。少なくとも税率が違う勘定科目はキッチリ分けないとダメなんですよね。

一般家庭の家計簿と、企業の貸借対照表や団体の収支報告書は勘定科目の多さや税率の違いなど全く別物として考えた方が良いです。


小渕氏の場合

小渕氏の場合は、観劇会の費用報告で収支が違っている事が問題視されています。

これは収支報告書だけでは判りません。正確に調べようと思えば、総勘定元帳を調べ上げ、場合によっては個別伝票まで調べる必要があります。


貸借対照表や収支報告書の場合、収入の部と支出の部の総計は同じ金額になります。

収入の部の合計額が1億円だったら、支出の部の合計金額も1億円です。

実際には一年の収入が1億円で支出は9千万円という場合が多いですが、その場合はその差額の1千万円が次期繰越金として支出に勘定されるからです。翌年の収支報告では、その1千万円が前期繰越金として収入の部に記載されます。

ですから、貸借対照表や収支報告書は常に収入と支出が同じ金額になるんですね。ですからバランスシートと呼んだりします。


企業の経営者でもバランスシートは確認しても、総勘定元帳までチェックする人は多くは無いでしょう。ましてお嬢様育ちの二世議員が、総勘定元帳までチェックしているとは思えません。


小渕氏の場合、観劇会の収入が会費として計上した金額約742万円(2010年、11年分)で、経費として支出されているのが計約3383万円(同)となっています。

一番可能性が高いのは、もちろん赤字分を小渕氏の政治団体が補填したケースです。

しかし、他の年の会費を参考にすれば1万2千円前後の会費を集めていると考えるべきでしょう。

参加者は約2000人なので約2400万円の収入があったはず。1000万円以上の赤字を自己負担したと考えるのはちょっと難しい。


ただ約2400万円の収入が740万円と計上されていた事については、総勘定元帳を調べなきゃわかりません。

観劇会の参加費を複数の勘定科目に分けて記載している可能性があるからです。私自身は政治団体の会計なんて判りませんが、政治団体の場合は税制が少々複雑なところがあり、参加費×参加者数をそのまま同じ勘定科目で計上するとは考えにくい。少なくとも税込み○○円と一括計上する事はないでしょう。

観劇費○円と消費税○円、バス代○円と消費税○円というように分けて記載するので、勘定科目も観劇費が何の勘定科目になるか知らないですが、交通費とは別の勘定科目で計上しているはずです。


それくらいの知識はお嬢様育ちの2世議員でも知ってるはず。だけど、それを詳細にチェックしているかどうかは疑問。疑問というより「チェックしてない」と断言しても言い過ぎだとは思いません。


収支報告の収入と支出の合計額は同じ金額になってるはずですから、問題は差額分がどの勘定科目で報告されているか?って事です。

私が考えているより更に多くの勘定科目に分類されているはずですから、そう簡単に解明出来ないと思いますが、観劇会の費用疑惑の原因は「どの勘定科目で計上したか?」って事なんですよね。

少々経理や会計の知識があっても、よその団体の帳簿なんて判りません。おそらく自分のところの帳簿だって難しいでしょう。専門の会計士辺りが時間を掛けて検証しないと真相は判らないと思います。