フランスで極右政党が第一党になったらしい

本日ちょっと気になるニュースがあった。

フランス政界に激震、欧州議会選で極右政党が首位


昔から極右や極左が台頭する背景には、政情不安と貧困がある。これは歴史が証明してる事実である。

しかしブコメの反応を見てみると、フランスで極右政党が第一党になった事で戦争・紛争のリスクが高まったと認識してる人が少なからず存在するようだ。

メディアがそういう煽り方をするのは、その方がインパクトがあり読者を呼び込みやすいからなのだが、一般のネットユーザーはもう少し冷静な判断をするべきなのではないだろうか?


新聞やテレビなどのマスメディアは、ユーザーを取り込むために少しでもインパクトのあるタイトルを選び、読者を煽り、スポンサーへの利益誘導を行う事が仕事である。

だからマスメディアから情報を入手する場合には、スポンサーへの利益誘導というバイアスを差し引いて判断する必要が在るのだが、その件について今回触れない。


このニュースを読んで考えなきゃならないのは、フランスで極右政党が躍進した背景だ。

既に書いているが、極右や極左が台頭する原因は政情不安と貧困であり、政情不安と貧困の原因は何か?という事を考えなきゃいけない。


フランスでは若年層の失業率が高いので、貧困の原因はワークシェアリングの不備だと言えよう。

次にフランスの政情不安の原因だが、よく話題になるのは移民問題である。移民政策がフランスの政情不安の原因なら、移民政策を採用したフランス政府に責任があるのだが、なぜかフランス人の怒りは移民たちに向いてしまう。

移民政策が悪いのであって、移民たちには罪は無いんだけどな。その辺は感情の問題なので、ロジック優先の私には全く持って理解不能な部分である。


しかし、フランス国民の移民に対する憎悪と、悪くもないのに憎まれる移民の不条理は深刻化してるのが事実であろう。

そういう理不尽な対立構造が出来上がりつつあると仮定するならば、そりゃ〜政情不安になりますわな。

フランスで極右政党が躍進する下地は既に出来上がっていた訳です。


ただし、フランスで第一党に躍進した国民戦線が、フランスの政権を握る訳じゃ無いんですよね。フランスで政権を握っているのは大統領であり、国民戦線が大統領選で勝つためには他の政党から票を集めなきゃいけないんだが、国民戦線が他の政党と協力するとは思えないし、他の政党も国民戦線に協力するとは考えられない。


ならば、フランスの政権は中道の政党が連立して担う事になるだろうから、現時点では戦争や紛争のリスクは全く気にならない。


しかし、政情不安と貧困が深刻な問題であるのは事実。そこは何とか改善しないと、近い将来国民戦線のような極右政権が過半数以上の支持率を集め、フランスの政権を握る可能性は否定出来まい。または国民戦線躍進の反動として、マルクスのような偉才が現れフランスを再度ルージュに染めるかも知れない。

いますぐにそのような事態になるとは考えられないが、一応頭の片隅には置いておきたい。


ちなみに、今回のニュースで頭を痛めてるのはEU加盟国である。フランス自体はドイツほどの経済力は持ち合わせていないが、経済大国ドイツを支えているのは豊富な資源と優秀な人材、そして地の利を生かした電力政策である。

豊富な資源と優秀な人材については説明の必要が無いが、電力政策には触れる必要があるだろう。

ご存知のようにドイツは欧州でもいち早く脱原発を表明した国である。だから反原発主義者には「ドイツを見習え!」という人も多い。

逆に原発推進派および維持派は「ドイツは原発大国のフランスから電力を輸入してるから、原発は必要だ!」と主張している。

どちらの意見ももっともらしいが、どちらの意見も正しくないのが事実なんだよね。


ドイツは、フランスから電力を輸入してるけど、他の周辺国からも電力を輸入している。

更に、ドイツは周辺諸国に電力の輸出も行っているんです。


ドイツの冬は寒いので、電力消費量が激増し周辺国から電力を輸入します。

逆に、夏場は涼しいので電力消費量が激減、周辺国に電力を輸出します。

ドイツの電力輸入や輸出を原発の是非に結びつけるのはナンセンスを通り越して、無知ゆえの暴論に他ならない。


ただし、フランスがドイツにとって重要な電源国の一つである事は事実です。フランスがEU脱退なんて事になれば、ドイツにとっては痛い損失でしょう。夏場はなんとかなるでしょうが、電力使用量がピークを迎える冬場には、間違いなく電力不足による経済的損失が発生します。


EU諸国を牽引するドイツが、電力不足により経済的打撃を受ければ、その影響はEU加盟国全体に波及する事でしょう。

EUを掲げるフランスの国民戦線躍進はEU諸国にとっては、ウクライナ情勢以上に深刻な問題になると思います。


この問題は、直接戦争に繋がる訳じゃ無いんですが、EU諸国全体の景気低迷を経由して、戦争・紛争に繋がっていく可能性は否定出来ないでしょうね。