高福祉国家・スウェーデンの暴動は対岸の火事じゃない件

今日は日本ダービー東京優駿の余韻に浸っていたんですが、非常に興味深いニュースを見つけてしまって・・・少し考えさせられました。



ロイターの記事です⇒焦点:移民大国スウェーデン、暴動で露呈した「寛容政策」のひずみ



我が国でもスウェーデンは世界有数の高福祉国家だと認知されていますよね。厳密に言えば高福祉高負担の国です。世界最高レベルの高福祉を可能にしてるのは、世界最高レベルの税率なんですよね。



それでも一部の知識人やマスメディアは高福祉国家スウェーデンをモデルにして、日本も高福祉国家を目指すべきだと主張しています。



私は昔から「国家経営の肝は福祉より経済だ!」と考えていましたし、経済政策の中でも雇用創出が一番重要だと考えています。だからスウェーデンモデルを推奨する人たちの事を信用していなかったし、福祉で国民が幸せになれるなんてお花畑過ぎると思っていました。



しかし、そんな私でさえ福祉国家スウェーデンで暴動が起きるなんて夢にも思っていませんでした。私の考えも相当甘かったという訳です。



今回スウェーデンの暴動は、直接の原因が国の移民政策によるものですが、何故移民政策が暴動の原因になったかを考えると、高福祉高負担というシステムが抱える問題が元凶だといえます。


高福祉を可能にする為には高い税負担が要求されます。高い税負担を可能にする為には、人口を増やしGDP(国民総生産)を増やす必要があります。手っ取り早く人口を増やすには移民の受け入れを増やすのが一番簡単です。少子化対策などは施行までに時間が掛かるし、更に子供が増えたとしても労働力になるまでには時間が必要ですから、数十年単位の時間が必要になります。

結局、短期間で人口を増やしGDPを増やすには即戦力の労働力として移民を受け入れるのが手っ取り早いんですよね。



スウェーデンは高福祉の国ですから、比較的移民は集まり易いでしょう。特に、貧しい地域から高福祉に釣られて移民してくる人は多いと思います。

実際にスウェーデンでは移民が増えて順調に人口が増えているし、全人口の約15%が外国生まれの移民だといわれています。

スウェーデンの移民受け入れ政策は充分に効果があったと思えるし、人口の伸び具合だけを見れば、高福祉高負担の理想社会も可能なんじゃないか?と考える人は多いでしょう。「福祉より経済だ!」という考えの私でさえ「スウェーデンなら可能かも知れない。」と考えていました。



ところが、重要な問題が残っていました。私が最重要視する経済です。

間違えないで欲しいのは、スウェーデンが経済を軽んじていた訳じゃありません。むしろ多数の移民を受け入れる為に、経済活動には力を入れていたと思うんです。

世界最大の家具メーカーイケアや欧州第二位の家電メーカーエレクトロラックスは日本でも有名だし、通信機器メーカーのエリクソンも有名だし、ノーベル賞のノーベル社も超有名!更には軍需産業も強かったはずです。



スウェーデンは人口が多くないのでGDP自体はそれほど高くないんですが、一人当たりの名目GDPだと世界トップクラスです。GDPは米国・中国・日本が世界のトップ3ですが、一人当たりに換算すると米・中・日はスウェーデンに適いません。

スウェーデンは経済にも力を入れている国だと思います。公務員の割合が高いのは問題があると思うけど・・・



しかし、現実にはスウェーデン国内での格差が拡がり、失業率も高いです。

人口が増えるスピードに雇用創出が追い付いてないんですね。



やはり国家経営には福祉より経済(特に雇用創出)を優先させるべきだったと思います。まあ〜スウェーデンの場合は社会科学の実験国家的なところがあって、高福祉高負担も移民受け入れ政策も社会科学の実験だといえるのですが・・・暴動に発展しちゃうと「やっぱり福祉より経済じゃないかな?」と思えるんですよね。



私自身、スウェーデンの政策が暴動にまで発展するとは夢にも思ってなかったので、スウェーデンモデルを推奨する人たちを批判する訳にはイカンのですが、国家経営の肝は福祉より経済!特に雇用創出が一番重要!!という事を再認識しました。



我が国も福祉には力を入れてる国ですが、福祉を支えているのは経済で、雇用創出を疎かにして福祉は語れない!って事を肝に銘じる必要があると思います。



日本ダービーの結果ですが、私はロゴタイプ単勝とアポロソニック複勝を買っていたので、収支はホンのちょこっとだけプラスでした。ロゴタイプには自信があったんだけどなあ・・・