自分たちの常識が通用しない国や地域が沢山ある

アルジェリア軍の救出作戦に対して、関係国は批判的なコメントをしています。

もちろん我が国の政府も人質の人命を優先させるという理由から、軍事作戦開始の事前通告が無かった事に批判的です。



しかし私自身は本当にそうなんだろうか?と疑問に感じています。

人質の人命を優先させるという事は、我が国や先進諸国なら当然の事ですが、その当然の事が当然ではない国または地域だってあるんですよね。



日本やその他の先進国では、人命以上に優先されるものは無いってくらいに人命が優先されます。しかし、そんなのはここ数十年の価値観に過ぎません。

我が国の歴史においても、戦国時代などは人命なんて尊いものですらなかったはずです。

本当はいけない事だけど、地域によって人命の価値は違ってきます。時代によっても違います。文化によっても違います。我々は「人命が最も尊いものだ」と認識していますが、地域によっては信仰が最優先だったり、経済が人命より優先されたりするものなんです。

世界中が自分たちと同じ価値観を共有している訳ないんです。価値観なんて、それこそ千差万別!人命が最も尊いものだという我々の常識は、我々にとっての常識であって、世界中が人命優先なんて考えていると思ったら大間違いです。



海外旅行にたった2〜3回しか行った事のない私でさえ、日本の常識と世界の常識は必ずしも一致する訳じゃ無い!って事くらい知っているし実感しています。

なぜグローバルな視野を持ち合わせているはずのリーダー達が、自分たちの価値観と他国(または他民族)の価値観が必ず一致する訳じゃ無いという事実を無視して、アルジェリアのアクションを一方的に批判するのでしょうか?信じられん話です。



日本では人の命に値段を付ける人などいませんし、人の命ほど価値の高いものはありません。

しかし、他の地域に行けば人の命など馬や牛の命と同等だったり、下手をすれば牛や馬の命の方が人の命より価値が高い事もあり得る事です。

今の日本は人命が最も優先されますが、ほんの百数十年前までは人の命なんて安い時代だったはずです。大名行列の前を横切っただけで無礼打ちにされてた時代でした。更に遡れば、戦国時代なんて人の命なんて紙切れ同然の時代だったでしょう。

日本に限らず、現在先進国とされている欧米諸国だって、数十年前までは自国民の命は大切だが、植民地の人の命なんて労働力としての価値としか考えてなかったはずです。

ある程度豊かな生活が出来る国または地域なら、人命は最優先されて当然なんですが、貧困に喘ぐ国や地域では、他人の命より自分自身の明日の食い物の方が遥かに優先される事だってあるでしょう。



私自身は「今回のアルジェリアの軍事行動は容認出来ない」と考えていますが、だからといって一方的に批判して良いものかどうか?

アルジェリアは早まった行動に出たな!」と思いつつ、「国や地域で価値観は変わるからな」と考えています。



「人質がお前の親や兄弟だったとしても、同じ事が言えるのか?」って批判を受けるかも知れませんが、私だったらまず「自分たちの常識が通用しない場所がある」って事を力説し、危険な地域には行かないよう説得します。それでも「行く!」と言うのであれば、その意思を尊重しつつ送り出しますが、送り出すときにある程度の覚悟は決めるでしょう。本人が命を賭けてでも行くのなら、本人にとっては命よりも優先させるべき何かがあるから行くのであって、その意思は尊重されるべきです。人命より尊いものは無いってところで思考停止している私の考えより、命を賭けてでもやるべき何かを見つけた人の意志の方が優先されるべきですから。

今回被害に遭った人たち全員が「命を賭けてでもやるべき仕事」だと考えてアルジェリアに行ったかどうかは判りかねますが、少なくとも危険は承知していたはずです。

だからと言って見殺しにする訳にはいかないので、国のリーダー達は最善の努力をするべきです。絶対に諦めてはいけません。しかし、だからといってアルジェリア軍のアクションを一方的に批判して良いものかどうか?私には判断がつきかねます。



我が国にも人の命が紙切れ同然の時代があったんです。人の命が安い国や地域があったとしても、一方的に批判する事なんて出来ないような気がします。

我々に出来る事は、一人でも多くの人質が無事に解放される事を祈る事くらいしか無いような気がします。



現時点では、一人でも多くの人質が無事に開放されるように、最善の努力をする事が最優先である事は当然の事ですが、今後は「自分たちの常識が通用しない国や地域が沢山ある」という事を再認識して、今回のような事件が再発しないように心掛ける事が大切だと思います。