地方紙の社説が正論なので・・・

地方紙の社説が正論なので、インフレターゲットについて考えてみました。

他にも地方紙の社説にはインフレターゲットの導入を望む社説が多いですね。

ちなみに五大メジャー紙の場合、米連邦準備制度理事会ゼロ金利政策延長とインフレターゲット政策について社説で触れているのは日経だけでした。

日本のメジャー紙は、日本にとっても影響が大きいであろう米国の方針や金融事情よりも、毎回馬鹿馬鹿しい(小学校低学年レベルの)言い争いを続ける国会の政争の方がお好きなようです。

芸人ブームだし、お笑い路線を目指しているんだろうか?



アメリカのインフレ目標

米連邦準備制度理事会FRB)が「長期の目標および 政策戦略」に関する声明で、2%のインフレ目標を導入すると発表したんですが・・・

簡単に説明すると、「事実上のゼロ金利政策を延長する。」「インフレターゲット導入で前年比2%の物価上昇が見込める」って事らしい。



日本でもインフレターゲット政策の導入を検討するべき

各地方紙の社説には、「日本でもインフレターゲット政策を導入するべきだ」という論調が多いようです。

私もインフレターゲットの導入は急いで実現するべきだと考えています。

日本ではインフレ=悪というイメージを持った人が多いようですが、私は経済は成長し続けなきゃいけないし、経済が成長するならば経済成長に伴ったインフレは必要不可欠だと考えています。

簡単に説明すると、毎年5%のインフレ率で物価が上昇すれば、2012年には120円だった缶コーヒーが、2012年には126円になるという事です。

「え〜それじゃ〜消費者は損する事になるやん!!」と感じる人が殆どでしょうね。だからインフレ=悪というイメージが定着してしまっているんですよね。

自分が消費する事だけを考えれば、インフレ=悪というイメージは間違いとは言えません。

だから収入のない人にとってはインフレになるのは厳しい事です。

ところが、収入のある人(現役世代)の場合は、物価上昇に伴う収入増が見込める訳です。企業は物価が上昇すればその分の収入増になるし、企業の利益が増えれば利益の分配が増える。要するに賃金のベースアップにつながる訳です。

また自営業ならば、直接収入増になります。

インフレで困るのは、すでに資産を持っているにも関わらず、ひたすら溜め込んでいる人たちだけなんですよね。まあ〜現在はデフレの真っ只中ですから、資産を持っているだけで物価下落に伴い資産が増え続けるのですから、使わずに溜め込んでいるのがお得なんですよ。

ところが、インフレになると溜め込んでいるだけでは資産が目減りしてしまいます。

インフレだと、よりよい投資先を見つけるなり、商売をするなりして資産を有効活用しないと資産が減ってしまう訳です。

インフレなのにタンス預金なんかしていたら、毎年資産が目減りしてしまうんです。

はっきり言って、金を持っているより物に替えて保有していたほうが良いって事になります。

だから物が売れる状況になる訳ですね。

政府や日銀が毎年2%のインフレターゲットを設定しただけで、2%の増収になるんです。あくまでも国全体の話であって、一部にはもっと収入が増える人もいるだろうし、逆に収入が減る人もいるでしょう。あくまでも全体的には2%の増収が見込めるという話です。

ただし、努力する者は増収が可能だし、努力しない人または努力する方向が間違っている人は現状維持すら難しいでしょう。

しかし、努力する人が報われないという現状はデフレだから報われないのであって、インフレになれば報われる可能性は高くなります。

私は努力する人は努力に応じて報われるべきだと考えています。「努力しない人の生活はどうする?」っていう人もいるかも知れませんが、私は「努力しないで現状維持を考えるより、ちゃんと人並みの努力しましょうよ。」と言うと思います。

努力したくても出来ない人(体が不自由な人やその他の障害がある人)の為に、生活保護という制度がある訳です。

働ける人は働くべきです。日本には勤労の義務があるんですから。



インフレは雇用促進にもつながる

インフレターゲット政策を導入するだけで、雇用促進にも繋がるんですよね。

インフレになれば、企業は毎年増収増益にしなきゃならないので、毎年のように設備投資を行いつつ、投資した設備に応じた労働力を確保しなければいけません。せっかく設備投資しても労働力不足で設備の稼働率が上がらないのであれば投資が活きてこないばかりか、投資分の赤字になってしまいます。

インフレターゲット政策を導入すれば、企業は設備投資&労働力確保が必要不可欠になるんです。もちろん設備投資や労働力の確保が出来れば、企業の増収増益は約束されたようなものです。

インフレターゲットを導入すれば、企業は更なる努力を求められるが、更なる努力を怠らなければ増収増益が約束されるのです。(何度もシツコイようですが、あくまでも努力の方向性を間違わなければの話です)



地方紙の社説は正論なんだが・・・

今回取り上げた地方紙の社説は正論なんですが、正論だからすべてが上手くいくとは限らないんです。

以前の私は「インフレ誘導は簡単だけど、インフレコントロールはメチャクチャ困難だし、経済音痴の民主党が与党の間は危険極まりない政策だ」と考えていました。ところが、先日も指摘したんですが二大政党の一翼を担う自民党が骨の髄まで野党体質に成り下がった現状では、インフレコントロールなんて夢のまた夢って感じています。

日本の政治家や官僚の能力ではインフレをコントロールする事は難しいです。インフレをコントロール出来る能力を備えているのであれば、現在の狂気の円高だってコントロール出来ていたでしょう。現在の狂気の円高は無能な政治家や官僚の責任だと言いたい処ですが・・・これもまた政治家や官僚を責められないんですよね。仮に私が政治家か高級官僚の一人だったとしても円高を回避する知恵が浮かばない。円を大量に刷ってばら撒けば円の高騰は避けられるし、インフレ誘導も可能だと考えている人も多いようですが・・・おそらくそんな方法では円高もインフレ誘導も難しいでしょう。(円高回避については一つだけ思いついている事もあるんだけど、それはまた今度書きます。)

円を刷って円が大量に市場に出回ればインフレ誘導が可能とか円安に繋がるって考え方は間違ってはいません。一昔前なら十分通用したでしょうし、いまでも一回限りなら通用するかも知れません。

現在は市場に出回っている現金の量で円や物価が決められている訳じゃ無いんです。現在は約束手形やクレジット、バーチャルマネーなど、現金以外で取引される事が多くなっているのですから、市場に出回っている現金の量で円や物価をコントロールするなんて不可能に近いと考えられます。

大量に刷ってばら撒けば良いって考え方が間違っているとは思いませんが、実際には不可能に近いでしょう。

どこまで市場の現金を増やせば円安になるか正確にはシュミレーション出来ない状況だと思いますよ。もし実行するならハイパーインフレを覚悟して実行しないといけない。さすがにハイパーインフレは避けたいですよね。あくまでも2〜5%くらいのインフレ率が理想なんであって、100%とか200%のインフレ率だと国家が破綻しかねない。というか・・・すでに破綻国家として認識すべきでしょう。

地方紙の主張は正論だし、理想的な考え方だと思うのですが、日本でインフレターゲットを導入するのは、現在の政治家や官僚の資質では不可能でしょう。もちろんこの私にもそんな能力はありません。

ただし、せっかくアメリカが先に実行してくれるのだから、インフレターゲット導入後のアメリカを参考にして、日本流のインフレターゲットを検討するチャンスではあると思います。

先進国と呼ばれている国々をはじめ、様々な国が、すでにインフレターゲットを導入しているんですが、経済の規模や仕組みが日本とは大きく異なるところが多過ぎて参考にならない。

その点、アメリカは日本の経済の仕組みとは多少異なるものの、市場規模は日本より大きい。参考に出来る事は多いと思います。

まあ〜アメリカの政策が成功するかどうか疑問ですが、方向性だけは間違っていないと思います。いずれにせよインフレターゲットは必要なんですから、アメリカの状況を観察しながら導入時期や方法を考えるべきでしょう。

あとは、我々国民も考えるべきです。

選挙は政治家の資質を問うシステムですが、問われているのは政治家の資質だけではありません。

選挙では我々国民の民度も同時に問われているんだという事をシッカリ肝に銘じておくべきでしょう。

有能な指導者を選ぶ事が出来れば、社会は少しづつより良い方向に向かうはずです。