貝殻経済

今日は日本の経済について考えてみました。

貝殻経済とは

私は日本の経済って貝殻経済だと考えています。

アンドリュー・カーネギーの言葉に「一番乗りは牡蠣を得るが、二番目の人は貝殻しか得られない。」ってのがあります。

意味はそのまんまです。

一番乗りが美味しいものまたは巨額の富を得て、二番目の人は残り物しか得る事が出来ないという意味です。

アメリカの経済は一番乗りを果たした人たちや一番乗りに協力する人たちが牽引しています。

とくにインターネット関係は全世界が対象になっているので、ちょっとした一番乗りが一国の国家予算を上回るような莫大な富に結びつきます。

Yahoo!Googleなどの検索エンジンや今話題になっているFacebookTwitterなど・・・


ところが日本の場合は・・・
アメリカで成功したビジネスモデルを真似して成功しているので所詮二番目以下となり、巨万の富を得たとしてもアメリカの成功事例と比較すると何十分の一あるいは何百分の一って事になります。だって所詮貝殻なんだもん。

牡蠣と貝殻の差がアメリカと日本の差なんですよね。

ミクシーなどのSNSソーシャルネットワークサービス)は日本限定なので、SNSのビジネスモデルに一番乗りしたFacebookの収益には遠く及びません。遠く及ばないものの・・・それでも羨ましいほどの富を得ているんですけどね。

検索エンジンに関しては、日本でもYahoo!Googleが一番利用されています。Yahoo!検索エンジンGoogleのものを利用しているので検索エンジンに関してはGoogleの一人勝ち状態です。

アメリカは牡蠣を得る為に一番乗りを目指しますが、日本では貝殻を得るだけでも十分な収益を上げることが出来るので、二番手を狙う事になります。

日本の経済は最初から牡蠣を狙わずに、確実に貝殻にターゲットを絞った貝殻経済なのです。



ガラパゴスの強み

よく「日本のIT業界はガラパゴス化している。」といわれますが、ガラパゴス化についてはデメリットもあるがメリットも大きいと私は考えています。

日本のIT産業が全世界を対象にしたビジネスに繋がり難いというデメリットもあるのですが、おかげで全世界から日本がビジネスのターゲットにされる事は少ないです。またターゲットにされても言葉の壁があるので日本には定着し難いです。日本語というオリジナル言語が存在するおかげで、ITビジネスはガラパゴス化しているという事もいえるでしょう。

貝殻を得るだけでも十分に収益をあげる事が出来るのだから、日本のIT産業についてはガラパゴス化が大きなメリットに繋がっています。

日本の公用語が英語だったら・・・SNSFacebookに席捲されて、ミクシーなどの国産SNSは出る幕が無かったと思います。

日本の経済は貝殻経済であるが故に、日本語というオリジナル言語に守られ、それなりの収益を上げることが可能です。牡蠣を欲すれば、最先端を走る米国のIT産業と開発競争を展開しなければならない上に、一歩でも遅れをとると貝殻さえも得られない事になりかねません。all-or-nothingの競争です。

米国のIT産業を真似る事で、ローリスクでソコソコのリターンが得られるという日本のビジネスモデルは日本語というオリジナル言語の賜物といえるでしょう。

ガラパゴス化バンザイ!って感じです。



日本で牡蠣を得たいなら

日本人が牡蠣を得たいと欲すれば、牡蠣を得る事は可能だと考えています。IT産業で牡蠣を得る事は不可能に近いですが、日本のコンテンツ業界には漫画アニメという世界を席捲する力を持ったコンテンツが存在します。

日本は漫画やアニメに一番乗りした訳じゃ無いんですが、漫画に映画の手法を取り入れたり、アニメーション製作に手先の器用さや神経質ともいえる細かい作業を融合させ、日本独特の美意識を取り入れる事で、すでに世界中から評価されるコンテンツに成長しています。

そういえば・・・日本の美って昔からヨーロッパ等で高く評価されていたんだよね。

日本画や陶磁器などがヨーロッパの金持ちの間で大人気だったらしいし!

日本人が牡蠣を得るには、日本の美を追求したサービスを強化する事が大切だと思います。

そういう意味では、国立メディア芸術総合センター設立が撤回された事は残念です。

当時の麻生首相はグローバル経済を熟知していたからこそ国立メディア芸術総合センター設立を夢見たんでしょう。しかし・・・他の議員たちや日本のメディアはグローバル経済なんか理解するだけの知識も根気も無かったのでしょう。「アニメの殿堂」とか「国営の漫画喫茶」などと揶揄していました。

国立メディア芸術総合センター設立が撤回された事で、日本の強みを活かした経済成長は期待できなくなったような気がします。

ただし・・・漫画やアニメはある種の劣等感やアンダーグランドっぽい背景が推進力になっているともいえるので、政府や行政が影響力を持つ事で急速な衰退に繋がる可能性も否定出来ません。

漫画やアニメはすでに世界中で高く評価されているし、今後の発展を考えると「国や行政が影響力を持つような事が無い方が良かったとのではないか」というのが私の自論です。漫画やアニメは誇るべき日本の文化ですが、国や行政が影響力を持つ事はデメリットの方が大きいと思うんですよね。

牡蠣を諦めて貝殻経済を全うする方が、日本や日本人にとっては有意義だと思います。

もちろん「俺は牡蠣が欲しいんだ!!」と頑張る事は大切な事だと思うし、常に一番乗りを目指す牡蠣経済を否定する訳じゃありません。貝殻経済をまっとうしつつ、より高い目標を持った人たちを育てていく事は重要だと思います。