TPPについて・・・ちょっとだけ

最近TPPについての議論が盛り上がっていますね。

まあ〜日本では交渉に参加するかどうか?って事が盛り上がっているんですが・・・


私は「今頃そんな事を議論したって遅いよ!!」と考えています。

でも・・・いろんな人たちが喧々諤々の議論を展開しているし、ちょこっとだけ私の考えを紹介したいと思います。私個人は基本的にはTPP推進派の部類に属すると考えていますが・・・推進派の方も反対派の方も出来れば最後まで読んで欲しいです。(多分私の考えは間違っていないと思います。



TPPの今後

どこぞの大学の准教授って人が、TPP参加各国のGDPを比較して、「アメリカと日本でTPP参加国のGDPの大半を占めているから云々・・・」と語っていましたが・・・
この准教授って本当に頭が良いんだろうか?と思ってしまいました。TPPは日米の貿易問題で語られるようなちっぽけなスケールの話じゃない。現在は9カ国が交渉に参加していて、新たに2カ国が参加を表明していますが、将来的には20〜30カ国以上の国々が参加するであろうスケールの大きな話ですよね。現在参加している国々だけを対象にしてメリットやデメリットを考えていてはダメですよ。将来的には環太平洋の国々が数十カ国規模で参加するという事を前提にして協議すべき問題です。ここを間違うととんでもない不利益を招きかねません。



TPPに参加した場合

まずはTPPに参加した場合を考えてみました。誤解が無いようにして頂きたいのは、あくまでもTPP参加した場合であって、交渉に参加するか不参加なのかは別問題です


日本がTPPに参加した場合、日本の輸出産業は大チャンスです。TPPに参加したからといって直ちに日本の製品が馬鹿売れするかといえば・・・残念ながらそんなに甘いモンじゃないでしょう。しかし、努力次第では大いに売上げを伸ばせるチャンスです。

「TPPに参加すると農業がダメになる!!」って騒いでる人たちがいますが、私はTPPに参加したからといって日本の農業がダメになるとは考えていません。農業については判り易く説明したいので後で書きます。

TPPに参加すれば、日本の輸出業は大チャンスを迎える!という事になります。

ただし・・・日本の金融その他も開放させられるでしょうから、その辺りはデメリットといえるでしょう。日本の金融業界を開放すれば、米国の金融業界にとっては大チャンス。貧乏国を相手に商売しても儲からないけど、日本のような金持ち国を相手に商売すれば大儲けが可能です。アメリカにとっては「マジ!メシウマ!!」状態です。そういうアメリカの思惑を考えれば、「米国の言いなりにはなりたくない!!」って人が多数現れても不思議じゃないですよね。



TPP不参加の場合

アメリカの思い通りにはならないぞ!」って人たちが頑張れば、日本はTPPに参加しないことになるでしょう。

日本がTPPに参加しなければどうなるのか??

先に書いたように、TPPは続々と参加国を増やしていきます。インドネシアやタイ、フィリピンなどの新興国もどんどん参加する事になるでしょう。

環太平洋の多くの国々がTPPに参加すると、TPPに参加していない日本は貿易不振に陥るでしょう。

日本の経済は大打撃を受けます。


環太平洋地域の国々(特に新興国)の市場を米国が独占する結果になるでしょうね。



米国の戦略

アメリカに関して言えば、日本がTPPに参加すれば、美味しい日本の金融市場に参入できてメシウマ!

日本がTPPに参加しなければ、太平洋地域の新興国市場を独占できてメシウマ!

どちらに転んでも米国にとっては美味しい状況になるんです。

アメリカという国は、相手国がどんな選択をしようが米国にメリットがあるように外交をします。アメリカは外交でギャンブルなんかしません。常に勝つ外交。負けない外交を仕掛けてきます。

どっちに転んでもアメリカがメシウマ!なんて卑怯だ!って思うかも知れません。先日会社の人に話したら、「卑怯だ!!」って憤っていましたが、外交とはそういうものです。相手国に選択肢が複数あったとしても、相手国がどんな選択をしても、常に勝利する外交。それが外交力!ってもんです。



農業について

TPPに参加した場合「日本の農業がダメになる!」って意見がありますが、私はTPPに参加したほうが日本の農業にとっては良いと考えています。

「外国米が関税無しで販売されると、日本の米が売れなくなる。」って意見は嘘っぱちです。

むしろTPPに参加して、日本の輸出産業が潤う方が農業にとって良い傾向でしょう。

農家の人たちは誰が商売相手なのか考えてみましょう。

日本の農家のお客さんは、国内外の非農業従事者です。製造業であったり、販売・サービス業などの二次・三次産業に従事している人たちです。TPPに参加して二次・三次産業に従事している人たちが儲ける事は、農家の人たちにとって「お客さんが金持ちになる」事であり、お客さんがお金を持っているからこそ、高価だけど安全で安心な国産米が売れるんです。TPP不参加で輸出業が不振、二次・三次産業従事者の懐具合が寂しくなれば、安全・安心な国産米を買いたくても買えない。安全・安心に対する対価が払えないって事になります。TPPに参加しないという事になれば、お客さんの懐具合が寂しくなり、少しでも安い外国米で我慢せざるをえないんです。

判り易く説明すると、お客さんの懐が暖かい場合は安全・安心・品質 > お金という事になり、お客さんの懐具合が寂しいと安全・安心・品質 < お金という事になります。

日本の農業にとっては、TPP参加によってお客さんが儲けてくれる事の方が遥かにメリットが在ると思います。

ただし・・・TPPに参加しても輸出産業が努力不足で衰退すれば、結果は「どう転んでも農業は不振」という事になりますので、この辺りの判断は難しいところでしょう。



バスに乗り遅れるな!って人たちに一言

「バスに乗り遅れるな!」的な推進派がいるようですが・・・馬鹿馬鹿しいと思います。

アンドリュー・カーネギーの言葉に、「一番乗りは牡蠣を得るが、二番目の人は貝殻しか得られない。」というのがあるんですが・・・すでに一番乗りがいる訳ですから、いまさら「バスに乗り遅れるな!」って意見はありえない。残っているのは貝殻だけなんですから、すでにバスに乗り遅れているんです。

あとは、貝殻だけでも手に入れるか、貝殻も諦めるかの二択しか残っていません。残念ながら・・・

残念ながらTPPに関しては、日本は外交の敗者なんです。アメリカは、日本がドッチを選択してもアメリカの国益に適うように先手を打っているんですから、日本は外交で徹底的に負けてしまったんです。

TPP議論が今更盛り上がったところで時すでに遅し!なんですよね。残念ながら・・・



どうすれば良いのか・・・

すでに勝負はついているので、今更ジタバタしても始まらないんですが、「よりデメリットを減らす」という観点で議論を進めていくしかないんじゃないでしょうか。

「今からでも遅くないから、太平洋地域の親日国家を集めて第二次大東亜共栄圏構想を早急に練り上げよう」という選択肢も無い訳じゃないんですが・・・それは日米の対立構造を生み出しかねません。かなり危険な賭けになると思います。政策が賭けになっている時点で、日本の外交はダメダメなんですよね。アメリカのように「相手国がどんな選択をしようが、全部アメリカの国益に適う」という政策が正しい政策であり、正しい外交なんです。



ちなみに・・・

TPPに参加しなくても、優秀な日本車が欲しいという人たちがいるんじゃないか?と考えている人もいるでしょう。

もちろん、TPP参加国の中には日本車が欲しいという人たちが大勢いる国もあるでしょう。

だから、トヨタや日産などの日本車は今までと変わらず売れ続けます。

ただし・・・日本車といっても日本国内で生産した自動車ではなく、アメリカを中心として海外で生産を行っている自動車が売れるんです。日本がTPPに参加しなくても、TPP参加国の人たちはホンダやマツダの車が買えるんです。しかも・・・関税無しで!

アメリカに拠点を持っている日本企業は多い。そして、アメリカで生産している以上、日本の動向に関わらず、製品は関税障壁の向こう側にあります。

単純に日本の労働者の仕事がアメリカの労働者の仕事に変わるだけです。9%を超える失業率で苦しんでいるアメリカにとって、人気の日本車をアメリカの労働者に生産させられるって事は大きい。しかもノータックスで海外で売り捌けるんだから、アメリカはまさにメシウマ!なんですよね。日本の雇用がアメリカに移行するんだもん。



個人的な話

私がどちらかといえばTPP推進派だって事は理解して頂けたと思います。

そこで「何で積極的にTPPを推進しないんだ?」と疑問に感じた人もいるでしょう。

当然の疑問だと思います。

私が積極的にTPPを推進しない理由。それは米国やオーストラリア、ニュージーランドが参加しているからです。

だってアイツラ・・・事ある毎に「鯨は頭が良いから殺して食うな!」って言うんだもん。鯨肉大好きな私としては耐えられない事なんです。

非常に個人的な理由で申し訳ないんですが・・・個人的には大事な事なんです。