ムバラク大統領辞任。本当の戦いはこれからだ!

エジプトの反政府デモによって、30年間政権を握っていたムバラク大統領が辞任に追い込まれた。

私は、この反政府デモは大量の敗者を生み出すが勝者が生まれるかどうかは疑問だと考えていた。
→ 敗者ばかりで勝者のいない悲しい争い


今回、ムバラク大統領が辞任した事で、ムバラク政権やムバラク政権を支持してきた欧米諸国の敗北は決定的なんだが・・・

それではエジプトの民衆の勝利かといえば必ずしもそうとはいえない。

ただし、私が懸念していたような治安悪化には至っていないようなので、食料の供給がストップする可能性は低いと思う。

エジプトの民衆が今以上に飢えに苦しむような事態は回避できたのではないかと思います。

しかし・・・あくまでも目的はエジプトの人々の生活向上です。

ムバラク政権の打倒や民主化は、目的達成の為の手段の一つであり、過程に過ぎないんですよね。

革命の成否は、最後まで目的を見失わずに戦えるのか?って事にかかっている。

革命運動の中で、いつの間にか目的を見失い、手段の一つが目的に変わってしまう事がある。

今回のエジプト反政府運動の場合は、民衆の生活改善という目的から、ムバラク政権打倒が目的に変わってしまう可能性がある。

しかし、ムバラク政権を打倒した事に満足してしまっては、民衆の生活改善には繋がっていかないだろう。

民主化に成功しても、エジプトの民衆が次のリーダー選びを誤れば、なにも改善しないのである。

次のリーダー選びに失敗すれば、エジプトの民衆も敗者になるのである。

世間ではムバラク大統領の辞任で、エジプトの民衆が勝利したような扱いになっているが・・・むしろ「本当の勝負はこれからなんだ」と報道するべきではないだろうか。

今回のエジプト反政府運動で、極端な治安悪化は報道されていないので、この運動の指導者はクレバーで頭の切れる人物なんだろうと推測している。

治安悪化が民衆の敗北を意味している事を十分に理解し、運動に参加した民衆に伝えているからこそ、大規模な反政府運動の中での治安維持が可能になっているのだろうと推測している。

しかし、革命指導者がそのまま政権の中心に残ったとしても、国家運営が上手く行くとは限らない。

むしろ革命の指導者は、革命に成功した後は潔く身を引き表に出ない方が良いと思う。

革命の指導者としての資質と、為政者の資質は全く違うものだ。

今回の革命の指導者は、頭の良い指導者のようなので、そんな事は十分承知していると思うが・・・果たしてエジプトの民衆は、革命指導者が政治の表舞台から身を引くことを快く認めてくれるかどうかも疑問である。

まだまだ問題山積なのである。

これからが本当の戦いなんだという事を忘れないで欲しいと思う。