敗者ばかりで勝者のいない悲しい争い
エジプトの大規模な反政府デモが話題になっていますね。
有名なブロガーたちもそれぞれの考え方を披露してくれています。
この手の話題には興味があるはずなのに・・・今回はあまり興味が無かったんですよ。
なぜ興味が無かったかというと、この抗争に勝者はいないからです。
勝負が判りにくい事って、世の中には沢山あるんだけど、今回のチュニジアやエジプトの政変には勝者がいないんです。
敗者はハッキリしているのに、勝者がいない争いなんて、あまりにも悲しすぎるから出来るだけ考えないようにしているんですよね。
現実逃避だと言われるかも知れないが、ハッキリ言って現実逃避以外の何物でもないから否定しない。
それくらい悲しい争いだという事である。
経済
今回の反政府デモやクーデターが民主化の為の民衆の戦いだなんて考えているのは平和ボケした日本人だけなんじゃないだろうか。
確かに独裁政権を打倒し、民主化を求めているように見えるが、それは表面上のものだろう。
そもそも、経済がソコソコ安定し、毎日米の飯(外国の場合はパンかな?)が食えてさえいれば、こんな抗議活動は起こらないものだ。
政治不信が続く日本で、大規模なクーデターが起きないのは、不況で生活が苦しくなりつつあっても、毎日米の飯が食えているからだ。
社会のシステムなんてものは、毎日米の飯が食えりゃ〜何だって良いのである。
もしも明日、日本が共産主義国になったとしても、毎日米の飯さえ十分に供給されていれば、クーデターなんか起こらない。
政治活動家などが街頭でゴチャゴチャ理屈を並べ、人々が顔を合わせれば政府の批判を口にするようになったとしても、米の飯さえ十分に供給されていれば、クーデターなんか起きっこないのである。
それは、アラブ諸国だって同じである。
今回のアラブ諸国の政変は、根底に貧困や不況がある。
だからこそ実力行使に踏み切れるのだ。
彼らは毎日の食料さえ不足しているからこそ、実力行使に踏み切れたのだ。
彼らが求めているモノは、新しい社会のシステムでもなければ、新しい為政者でもない。あくまでも日々の食料であり、日々の食料を得る為の経済なのだ。
裏を返せば、食料さえ十分に供給されていたら、エジプトの大統領はムバラク氏だろうとオバマ氏だろうとアドルフ・ヒトラーだろうと反政府デモは起こらない。
口先だけで批判して終わりである。
敗者ばかり
しかし、今回民衆の怒りの対象になっているのは、現政権&ムバラク大統領である。
おそらくムバラク氏は民衆から打倒され、政権を失うだろう。
そして民主的な選挙が行われ、新たな大統領が誕生する。
敗者は間違いなく現政権、ムバラク大統領およびムバラク政権を支持してきた欧米諸国である。
勝者などいない
「それでは、勝者は民衆じゃないの?」と思うかも知れないが、実は民衆も敗者なのである。
彼らは日々の食料を求めて争ったのだ、敵(ムバラク政権)を打倒しても、欲しかった食料は手に入らないばかりか、治安悪化に伴い他国からの食料供給が減少し、更に食糧事情が悪くなるのは明白である。
民衆もまた敗者なのである。
悲しい争い
始めから勝者のいない争いなのだが、始めちゃったからには被害者が生まれる事になる。
敗者しか生み出さない争いなんて、悲しすぎるだろ?
だから私は、見て見ぬフリをして関心が無いように振る舞い、ひたすら現実逃避をするのです。
いまさら日本で「悲しい争いを止めろ」なんて叫んでも、彼らに届くわけでもないし、私の力でなんとか出来るようなものでもない、そして中東の国で起きた政変が、私達に及ぼす影響はそれほど大きくない。少ないとはいえないんだけど・・・
こんな悲しい争いが日本で起きないように祈るのが精一杯で、他国の事なんて気にしている余裕もすら無いのである。
日本人の場合、クーデターを必要とするほど飢えていないんだから、今のうちに少しでも経済状況を改善する事を考えるべきだと思う。
日本人だって、毎日の食料に困窮すれば、アラブ諸国のように悲しい争いを始めてしまう可能性は高いんですよね。