グルーポンが破綻するとしたら・・・

グルーポン型のビジネスモデルは長続きしないだろう。

というか・・・サブプライムローンと同じように、創始者たちは「数年間は爆発的にヒットするが、その後は一気に崩壊する」と考えていると思う。



バードカフェの偽装お節は氷山の一角

バードカフェのお節については、当ブログでも紹介したので、知らない人は
http://d.hatena.ne.jp/kunitaka/20110101/1293811629

新年早々気分が悪いニュースだったので、記事にするかどうか悩んだんですが、被害を受けた人たちに泣き寝入りして欲しくないので記事にした。

ホリエモンとか有名人が、バードカフェを庇っているようだが、ホリエモンは勘違いしている。

ホリエモンは、「社長が辞任して、損害金は返金して、社会的制裁は受けているんだから、これ以上叩くのはイジメだ。」というような内容をひたすらツイッターで呟いていたが・・・まったく同調出来ん。

個人的にはホリエモンは嫌いではない。だから彼のツイートをフォローしている。

商売っ気たっぷりのツイートやリツイートが多いが、それが悪いとは思わないし、「僕はお金儲けが好きなんです。」という事を全面に押し出していて、むしろ清清しい印象すら受ける。

しかし、バードカフェの問題については、全く同調できないんですよね。

そもそも被害者に返金すると宣言しているが、まだ返金が済んだわけではない。その返金作業が終わる前に代表取締役を辞任するってことは、そりゃ辞任じゃなくて逃走だろ?

被害者に対する謝罪と返金作業が終わって、それでもまだ叩かれているなら庇いたくなる気持ちも判らなくは無いが、現時点でバードカフェを擁護する要因は全くないといえる。


しかし、バードカフェの事件は氷山の一角に過ぎないんじゃないか。

今後も似たような事件が、グルーポン絡みで頻発するような気がする。



グルーポン型ビジネスのメリットとデメリット

グルーポンを使えば、定価の半額で商品を購入したり、サービスを受けられる。

消費者からみたら、非常にあり難いサービスだが、商品を提供するお店としてはどんなメリットがあるのだろう。

ちなみに、外食産業の原価は30%と仮定して簡単に説明する。

2万円のおせち料理が半額なので売上げは1万円だ。

そしてグルーポンの取り分が売上げの50%だから、お店の取り分は売上げの50%で5000円になる。

ところが商品の原価は2万円の30%なので6000円になる。

1000円の赤字である。しかも・・・1000円の赤字というのは、売上げから材料費を引いただけの赤字であり、その他に店舗の維持費や従業員の人件費などはすべて赤字である。

これでは赤字を出すために働いているようなもので、普通の経営者ならグルーポンなんか利用しないのである。

お店側から見たら全くメリットの無い、デメリットだらけに見えるグルーポンビジネスだが、実はお店側にもメリットはあるのだ。

あくまでも条件付なのだが、例えば新規オープンの飲食店をはじめ、サービスのクオリティーが高くて適正な価格なのに、宣伝力不足で不振が続いているお店、資金繰りなどの問題で、赤字でもいいから一時的に現金を集めたいお店などは、グルーポンを利用して目的が達成出来る可能性があります。

イベントなので一過性のものなのだが、そのイベントで掴んだ顧客を上手く囲い込めれば、長期的に考えると儲けになる。


ところが困った事に一時的なイベントが、一時的で済まなくなるんだよね。


そこがグルーポン型ビジネスの落とし穴だ。



グルーポンからの視点

グルーポンは、消費者にとってあり難いシステムだし、お店もグルーポンの特徴を理解して上手に活用すれば、一時的に赤字を出しても長期的には利益を出せるシステムだ。

しかし、グルーポン側の視点からも考えてみる必要がある。


グルーポンとしては、サービスを提供するお店の新規開拓が必要である。常に新しいお店と提携して新しいサービスを紹介しないといけないのだが、実際には新規開拓には大きなコストがかかる。

私はグルーポンがどんな方法で提携先を探して契約しているのか知らないが、おそらく紹介したい商品やサービスをネットや口コミで探しだし、お店に行ってグルーポンのシステムを説明し理解してもらって契約するんだろう。

売上げの50%をとるんだから、これくらいの作業は当然なのだが・・・もっと低コストで仕事ができる方法がある。


新規の提携先を探すより、過去に契約したお店のサービスを何度も繰り返して企画すれば、50%の取り分はまさに濡れ手に粟状態である。

グルーポンの幹部は、同じ店のサービスを何度も紹介したら、グルーポン型のビジネスモデルは破綻すると知っているが、担当者まで周知徹底されているか怪しいものだし、またノルマに追われると安易な方法に手を出すだろう。


お店としては「一時的には赤字だけどお店の認知度が上がったり、新規のリピーターが増えたらいい」とか、「一時的に赤字を出しても、どうしてもこの時期にまとまった現金が欲しい。」とか「新規オープンなので、早く認知してもらうためにイベントを打ちたい」など、あくまでも一時的に赤字をだすが、宣伝広告費というイメージで赤字を受け入れている。

しかし、グルーポンは何度も何度も繰り返しイベントを打ちたがる。結果的にお店は繰り返し赤字を垂れ流す事になる。

赤字イベントを、グルーポンの言うがままに繰り返していけば、破綻するのは目に見えている。

経営が苦しくなったお店が、バードカフェのようなズルをする可能性は高いのである。



グルーポン型ビジネスモデルは崩壊する

グルーポン型のビジネスモデルは、同じお店を繰り返し使わない(提携先の負担を増やさない)という決まりを守っていれば、それなりに長続きするだろうし、上手く機能すると思う。

しかし、グルーポン側がより高いコストパフォーマンスを目論んだり、担当者がノルマに追われて追い詰められた時などに、安易な方法を選択し崩壊すると私は見ている。


人間は、目先の利益に弱いんだよな。