尖閣問題は日中の問題にとどまらない

「たまには社会的な内容の記事も書こうかな。」と思ったので、今回は尖閣諸島の領有権について、私なりの見解を書こうと思います。

我が国では一触即発の状況のように報道されていますが、私もかなり危機的状況だと思っています。

日本が尖閣諸島自衛隊を常駐させるような事になれば、中国側は「待ってました。」とばかりに戦闘体制に入るものと思っています。


しかし、日本政府も中国政府も軍事行動に移行する事が無いように、水面下で動いているのも事実でしょう。

このまま睨み合いが延々と続くんじゃないかと思います。



尖閣諸島の領有権

尖閣諸島は間違いなく日本の領土であり、国際的にも認知されています。なぜ中国の人たちが頑なに中国領だと言い張るのか?

それは、中国政府が中国領だと領有権を主張するからで、おそらく中国の教科書などには尖閣諸島は昔から中国の領土だったと明記してあるのでしょう。

しかし、いくら中国といっても中南海の人たち(中国の指導者)は、国際的には尖閣諸島が日本領だと広く認知されている事くらいは知っています。

ところが中国政府は、国内の混乱や政府への不信感から中国の人たちの目を逸らすために、昔から燻っていた反日感情を煽って来たんですよね。



孫子呉越同舟

孫氏でいうと「呉越同舟」って事です。

中国の国内は様々な民族が入り混じっているし、なかなか国内の意思を統一できません。

孫子は、仲の悪い将軍二人を協力させる為には、二人が協力しないと勝てないような敵と戦わせる事だと言っています。

たとえ話として「呉と越は昔から非常に仲が悪いが、もし呉の人と越の人が同じ船に乗って、その船が嵐にあったらどうするか。何事もなければ呉の人と越の人は喧嘩を始めるだろうが、船が嵐にあって沈没しそうになれば、なんとか沈没しないようにお互いに協力するだろう。」と説明しています。


多民族国家である中国をまとめる為には、共通の敵を作ることが大事なんです。

そこで中国政府は、中国の国内で燻っていた反日感情を煽ることで国民をまとめようとしたんです。

反日感情を煽るための方便として「尖閣諸島は中国領なのに日本が不当に実効支配している」という嘘を国内に広めたんです。

ですから、中南海の人たちは国際的にも尖閣諸島は日本領だと広く認知されている事も知っているんです。

しかし、いまさら「尖閣諸島が中国領だというのは、国民をまとめるための嘘でした」なんて言えなくなっているんです。

困った中国政府は、日本企業の社員を拘束しました。

日本では「拘束された人たちが酷い目に遭っているんじゃないか?」と心配していますが、彼らを拘束したのは中国国内に向けたパフォーマンスなので、彼らを酷い目に遭わせる事は無いと思います。

「日本が領海侵犯しているのに政府は何をしているんだ。」という中国の世論が政府批判に結びつかないように「ちゃんと日本に抗議していますよ」というパフォーマンスでしょう。

中国政府は「いまさら本当の事は言えないけど、このままじゃ国際社会から孤立しかねない」と考えているはずです。

しかし、中国政府が「尖閣諸島は日本領だ。われわれは嘘をついていた。」なんて言えないし、出来れば水面下で日本政府と折り合いをつけたいというのが本音でしょう。



中国世論と軍

ところが、尖閣諸島は中国領だと信じ切っている中国の人たちは「日本が侵略している。」と思い込んでいるし、反日感情もピークでしょう。

世論に後押しされた軍が、どんな行動に出るか。

戦前の日本を考えてみたら簡単です。

世論の後押しで発言力を強めた軍は、次第に中央政府より発言力が強くなり暴走するでしょう。

またアジアで悲劇が繰り返される事になります。

中国政府はなんとか軍の暴走を止めようと努力しますが、世論に後押しされた軍が、大人しく中央政府の言う事を聞くとは思えません。

このままだと間違いなく紛争に発展するでしょう。


中国政府が世論や軍を押さえられるなら紛争には発展せずに済むんでしょうけど、今更「嘘ついてました」なんて言えないので、世論を抑えることは不可能でしょう。

また、正直に「尖閣諸島は日本領です」なんて発表したら、中国の大衆は暴徒と化して政府や共産党を攻撃するでしょう。中国共産党は解体され軍閥が中国を治める事になれば、今よりも危険な国家になるでしょうね。

世界最大級の軍事力を誇る軍国主義国家が誕生する事になります。

尖閣諸島の問題は、日中関係だけに収まらず、世界中を巻き込む大戦争に発展する危険性を孕んでいます。

この問題をどう解決するか?中国政府の手腕に掛かっているわけですが、すでに中国政府は統治能力を失っている可能性が高く、世論と軍に押し切られてしまいそうなので、私は非常に危険な状況だと考えています。

しかし、この問題は中国政府の嘘と中国の世論の問題なので、わが国がどうこう出来る問題ではありません。

唯一の救いといえば、中国の人たちは欧米や日本に留学して、グローバルな視野を持っている人たちも多いです。彼らが上手く中国の人たちを導いてくれるかも知れません。

ただし、紛争に発展する可能性は高いので、今後の動向に注目しておく必要があるでしょう。

また、中国にいる日本人は、早急に日本に帰国したほうがいいと思います。