ベーシックインカム必要論
久しぶりにベーシックインカムについて考えてみた。
結論から先に言うと、「日本でも10年後にはベーシックインカムを導入する事になるので、早急にベーシックインカムの導入を検討するべきだ」という結論にたどり着いた。
10年後にベーシックインカムが導入されるという予言ではなく、10年後には既にベーシックインカムを導入していないと日本人は日本で生活出来ないという事だ。
ベーシックインカムの導入が必要になるのが何年後なのか予測出来ない。3年後なのか5年後なのか・・・
国内の雇用機会は減少している
失業率の増加が深刻化しているし、新卒の大学生は就職する為に四苦八苦の状況です。
なぜ大学生が就職先を探すのに大変な思いをしているのでしょうか。
20年ほど前の大学生と現在の大学生ではどれほどの能力差があるというのだろうか。
たしかに悪名高き「ゆとり教育」のおかげで学生の基礎学力はシャレにならないほど低下している。しかし、企業の採用基準が基礎学力だった訳ではない。もちろん一般的な読み書きや計算くらいはチェックするだろうが、一般的な読み書きや計算能力が備わっていれば、あとは面接官次第だったと思う。
いくらゆとり教育といえど一般的な読み書き、計算などの能力が大きく低下しているとは考えられない。
ではなぜ現在の新卒の人たちは就職活動に苦労しなきゃいけないのか。
製造業においては急速に機械化が進み、人が直接作業する仕事は大きく減少しました。
人が行っていた仕事を機械が行うようになれば、労働力は人から機械にシフトする。当然人件費よりも機械にかけるコストの方が安価なので、人から機械へのシフトは加速する。
現在は、労働力が人から機械へのシフトしている過程です。
今後ますます進行するので、人は機械に仕事を奪われていくのです。
国内の仕事の総量は増えていないのに、労働力は人から機械へのシフトが進行しているのだから、新卒大学生に仕事が少ない(就職先が無い)のは当然です。
製造業で生き残っていくのは、製造設備(機械)を新たに開発する人たちか、メンテナンスをする人たちだけでしょう。
ただし、コンピューターの処理能力も飛躍的に進歩しているので、人の脳の処理能力をコンピューターが上回れば、新しい機械の開発もコンピューターが行うようになるので、開発者と言えど安泰とはいえない。
「じゃ〜どうすれば良いんだよ」という話になるのですが、答えは簡単です。
新しい職種を生み出せばよいのです。
10年前には存在しなかった職種や草創期だった産業が、現在では花形産業になっています。
雇用を創出し続ける必要性
いままで隆盛だった産業が斜陽の時代を迎え、新しく生み出された産業が花形産業に育っていきます。
古い産業が淘汰され、新しい産業が花形産業に育つというのは世の習いです。
盛者必衰の理は人にも産業にも共通するのです。
ところが、非常に残念な事なのですが「米国の優秀な人材は起業する事を目標にするが、日本の優秀な人材はエリートサラリーマンを目標にする」と言われています。国民性の違いかも知れませんが、そうとばかりは言ってられないんですよね。
起業するという事は新しい産業を生み出すし、新たな雇用を創出します。
ところがエリートサラリーマンが雇用を生み出す事は稀です。
サラリーマンの場合、エリートだろうが万年平社員だろうが、雇用主から仕事を貰っています。
厳しい表現をすれば、サラリーマンは雇用主から仕事を貰う「雇用機会の消費者」なのです。
起業を志す人は「雇用機会を創出」しますが、サラリーマンは「雇用機会の消費者」なのです。
雇用機会の需要と供給がバランスよく保たれていれば、社会は円滑に機能しますが、雇用機会の需要と供給のバランスが崩れた状態が現在の状況です。
現在は仕事の総量よりも労働力が多い状態なので、失業者は増加し新卒の大学生は就職先が見つからないのです。
なぜ企業家を目指す人が少なくて、エリートサラリーマンを目指す人が多いのか。
偏れば需要と供給のバランスが崩れることは目に見えているのに、なぜ有効な対策を打たなかったのか。
それは、日本人の仕事観に関係があると思います。
士農工商という身分制度の名残りだと思います。サラリーマンは「宮仕え」とも言われますが、現代の士なんですよね。
君主・藩主に仕えるのが士(侍)であって、会社に仕えるのがサラリーマンですから
士農工商制度を現代の職業に置き換えるならば、士=サラリーマン(公務員を含む)、農=農業、工=自営の工業、商=自営の商業です。
徳川幕府時代から現代に至るまで、日本人の職業観として刷り込まれているのですから、優秀な人材がエリートサラリーマンを目指すのは当然と言えば当然ですね。
多くの日本人は士(侍)になる事を望んでいるのです。
しかし残念な事に侍は仕事を生み出す(雇用創出)事はないんですよね。
ベーシックインカム
仕事の総量を労働力が上回っているし、その問題を解決する為には、400年前から刷り込まれ続けている日本人の職業観を見直す必要があるのですが、そう簡単に国民性が変化する事は不可能です。
400年以上の長きに渡り刷り込まれた職業観を、数年で塗り替える事なんてほぼ不可能なんです。
根本的な解決を図るならば、雇用機会を創出する人(起業家)を増やす事重要ですが、仕事の総量を飛躍的に増やす程の起業家を育てるには時間が掛かります。
仕事の総量を増やすほどの人材が多数育つ間に、多くの日本人は生活に困窮し餓死者や難民になって国外に出て行く人が増えるでしょう。
また、米国のように起業家の数が増えれば、日本の雇用状況がよくなるかといえば、そうはならないんですよね。
現在のような東京一極集中の社会では、企業家は東京に集まり東京の雇用状況は改善されますが、地方では相変わらず大失業時代が続きます。
米国では優秀な人材が次々に起業しますが、シリコンバレーなどに集中しているので、他の地域ではとてつもない数の失業者が仕事を見つけることが出来ずに苦しんでいます。
起業家が増えても、地方では仕事がないのですから、国民全体の生活は向上しないんですよね。
そんな状況になる前に短期間で実行できる処置としてベーシックインカムの導入が必要になってくるでしょう。