日航のニュースから、自分自身を戒める

切磋琢磨という言葉がある。

意味は「道徳・学問・伎芸などに励むこと。また、互いに励まし合うことにより人格を磨くこと」

語源は中国の古典・詩経

衛という国の名君・武公は、常日頃から全ての臣下に「自分を諌めて欲しい」と言い続けた。
家臣や民衆は、その政治姿勢を敬い、詩を作った。
「匪たる君子あり、切るが如く磋るが如く、琢つが如く磨くが如し」常に戒めを求め、研鑽に励んだ君子の努力を称えた詩である。
切磋琢磨の語源は、武公の君主としての努力の様子である。
http://deai.cho-chin.com/koji.html



常に自分を戒めてくれる人を求める事で君子の資質を磨いた衛の武公の姿勢は大いに参考にするべきだと思う。



24日に日航株主優待券の配布を取止めにしたというニュースが流れた。

会社の存続が危ぶまれる局面で、いままで株主優待を続けていた事に疑問を感じるとともに、日航の企業体質、ひいては日本社会の風潮を見る思いであった。

株主の立場なら、所有している有価証券が紙屑になりかねない事態なのに、優待制度を求めるものだろうか。

私なら「株主優待は要らないから、株券が紙屑にならないように会社の経営を改善してくれ。」と思うだろう。
また、有効な改善案があるなら、株主総会で厳しい提案をすると思う。

ところが日本では、金は出すけど口は出さない物言わぬ株主が良い株主であるかのように考えられていないだろうか。

経営者としては、黙って金だけ出してくれる株主の方が、耳の痛い話を聞かなくて済むし有難いのかも知れないが、自分本位の考え方だけでは限界があるし、経営状態が向上することも無いだろう。

会社の今後を考えるならば、物言わぬ株主より、厳しい意見や提案をしてくれる株主の方が大切なんだけどね。

耳の痛い話から逃れ、耳障りの良い言葉ばかりを聞いていたら、そりゃ〜成長なんてする訳が無いと思う。

日航に限らず、日本の企業全体に当てはまる風潮だと思います。

ちなみに私もご先祖様が残してくれた証券を受け継いだ事があります。

昭和初期から30年代に購入したようで、恐らく商売をやっていたので、預託金代わりに買わされた証券だと思う。

私のご先祖様も、投資には関心が無かったようで、売買した形跡は無かった。

しかも・・・相続権のあった私の父は全く興味や関心が無く、私も全く関心が無かった。

ところが、あるとき我が家にある有価証券が紙屑同然になったことをニュースで知った。

私は「勿体無い事をした。少しでもお金に換えておくべきだった。」と反省し、残っている有価証券を全て調べて、父に代わって処分した事があります。

全く興味が無かったから、改善案など出せようが無いのであるが、一応経営者なので関心さえあれば改善案の一つや二つは出せたのではないかと思う。

改善案を出したところで小口の株主の意見など取り入れてはくれないだろうが、取り入れられようが取り入れられまいが、改善案を出して聞き入れられなきゃ「あ〜この会社は耳障りの良い意見ばかりを聞いて、耳の痛い話は聞かない体質なんだ」と判断して、所有する株券を売却する事を考えたはずである。

要するに私は無責任だったのだ。物言わぬ株主そのものだったと思う。

よって、株券が紙屑同然になってしまったのは、私が無責任であったが故であって、自業自得といえる。


話がそれてしまったが、企業としては耳の痛いことをシッカリ指摘してくれる人間を重用するべきである。

耳の痛い話は自分の肥やしになるが、耳障りの良い話は毒にしかならない。

経営者は「従業員の生活を守る。」また「社会的に貢献する。」という社会的使命がある。

衛の武公をお手本にして、自分を諌めてくれる人材を探す努力を怠ってはいけないと自分自身に言い聞かせたいものだ。