鳩山総理の逆ギレ政権放棄は必至だろう。問題はその後だ。

普天間問題の迷走で、追い込まれた鳩山総理ではありますが、個人的には鳩山総理には首相としての資質など無いと思っていたので、想定内の事ではあります。

約束した5月末に発表される結論は、現在話題になっている「辺野古くい打ち桟橋(QIP)方式」案でしょう。

しかし、この自民党案の劣化版といえる辺野古QIP案を選択すれば、沖縄県民や与野党からの反発は必至ですし、沖縄県民の合意を要求している米国の賛同を得ることは難しいでしょう。

よって、5月末から6月初旬にかけて、追い詰められた鳩山総理が「総理大臣なんてやりたくてやってるわけじゃないもん。辞めればいいんでしょ!やめれば!!」と、逆ギレして政権を放り出すであろう事も、私にとっては想定内の話なんです。


問題は、その後の我々の行動が大切だということです。

日本の国土防衛には沖縄の米海軍は必要不可欠である。

一部ネット上には「普天間は数ある米軍基地のひとつに過ぎず、大げさに考える必要は無い」とか「米軍を駐留させる費用や負担と、独自戦力で防衛する費用や負担を比較するべきだ」などという意見があるようだが、なんと無責任極まりない意見であろうか。

肥大化を続ける中国の軍事力に対して、睨みを効かせる為には沖縄がベストである事は誰の目にも明らかだし、「費用や負担を比較してみたら」という意見は論外です。

確かに巨額の税金が駐留米軍の為に使われていると思う。

総額がいくらくらいになるのか知らないけど、自前の戦力で防衛するという事がどういう事か考えた事は無いのだろうか。

駐留米軍に国土防衛を任せた場合は、我が国の負担は費用(お金)だけで済む可能性が高い。

しかし、自前の戦力で防衛する場合、わが国の負担は、費用プラス国民の血という事になる。

戦闘行為というモノは、必ず兵士の血が流れる残酷なものだ。

自国の防衛すら「お金」で済ますというのは賛否両論あると思うが、少なくとも現時点ではお金で済まそうと思えば済ませる問題である。

誰だって血を流したくは無いのだ。


しかも、少子高齢化が深刻化している現状を考えると、自国防衛を若者の血で勝ち取ろうというのは余りに無謀だといえる。

戦というモノは、お花畑理論や費用対効果で議論できるような代物ではない。

血を流すか、金で済ますかという究極の選択である。


まだ我が国が恵まれている点は、駐留米軍のおかげで「血」か「金」かという二つの選択肢があることだ。

他の国なら「血を流す」という選択肢しかない場合もあるし、最悪の場合は両方を求められる。

明らかにわが国は恵まれているのである。

ところが、鳩山総理の「普天間迷走」によって、米国に不信感を与えたことは事実であり、この処理に失敗すると自国の防衛に「若者の血」が求められる事になる。

そういう意味では、今回の鳩山総理の迷走は最悪の結果を招きかねないし、逆ギレ政権放棄なんて事になれば、国土防衛に若者の血が流れる事になるのは必至である。


賢い政治家ならば、そんな渦中に飛び込むなんて無謀な真似はしないだろう。

誰が鳩山総理の尻拭いをするんだ?という問題が残るのである。

駐留米軍に関しては、米国の財政難を考慮して、思いやり予算の増額等で誤魔化しちゃうって戦略もあるが、それには米国を丸め込むだけの話術や交渉術が求められる。

はたして日本の政治家にそんなスキルを持ち合わせた議員がいるだろうか?

マスコミや野党は、鳩山総理に対して「辞任!辞任」と騒いでいるが、鳩山総理が政権を放り出した後のビジョンがあるのだろうか?

鳩山総理が政権を放り出した後、こじれた日米関係を修復するような対策が無いのなら、あまり「辞任」を主張するべきではない。

それこそ無責任というモノだろう。


昨年の衆院選の際、自民党が下野すれば幸せな未来が待っているような妄想を国民に植え付けた結果が、現在の諸問題の発端となっている。

今度は、民主党が下野すれば幸せな未来が待っているような妄想を拡散してどうする。

とはいうモノの、鳩山総理の逆ギレ政権放棄は想定の範囲内だし、ココまでは避けようがないだろう。


鳩山総理の尻拭いは、卓越した交渉能力を持つ人物でなくてはならない。

支持政党の党利・党略などと眠たい事を言っている場合ではない。

愚直に国民と国益を考え行動する人物を、我々有権者は選択しなければならない。

沖縄に米軍の基地がある事は米軍にとっても重要事項なので、交渉能力の高い人が誠心誠意交渉すれば、米軍の引きとめは可能。


ただし、費用負担は増やさなければならない状況になると思う。

日本の生活者には厳しい状況(増税等の費用負担)になると思うが、これが暗愚な人物を首相にしてしまった有権者の責任だと思う。

高額の費用負担に耐える覚悟は必要だろう。