UCCの失敗から学ぶもの
先日「田村参議院議員はネットテラシーを正しく身につけてなくて残念だ」というエントリをしたが、失敗は誰にでもある。
ただし、失敗の後で何を学び、どういう対応をすればいいのか。
今回はUCCが行ったツイッターによる失敗を参考にしてみます。
UCCの失敗
UCCは、昨年12月5日からコーヒーにちなんだエッセイや画像などの作品を募集するキャンペーンを行っていたが、今年になってツイッターを利用したキャンペーンを思いつき、2月5日にTwitterキャンペーンを開始した。
ところがその方法は、ユーザーが投稿したキーワードに反応し、自動でメッセージを返信するBOTアカウントを利用したものらしく、ツイッターのユーザーは、フォローしていないアカウントからメッセージが届くので不審に思っていた。
幸いというか残念というか、私のところにはメッセージが来ていないので、詳しい内容は判らないのですが、ツイッターのユーザーは、「UCCを偽装したアカウントによるスパムBOTではないか」と感じたようです。
UCCは11個のアカウントを使ってメッセージを送ったが、不審に思ったユーザーがツイッターでつぶやいたりして話題になった。
当然、BOTを使った悪質なスパム行為ですから、Twitter運営側はスパムと認定して3アカウントを停止した。
UCCも、自社のキャンペーンがネット上で批判されている事に気づき、急遽残りの8アカウントを停止した。
キャンペーン開始から僅か2時間程度だったようだ。
その後、「なぜこのような事態になったのか」という経緯を説明し謝罪。
この対応が素晴らしく迅速に行われた。
はてなブックマークのコメントを見ても、この対応は高く評価されているようだ。
インターネットユーザーが他人の失敗にこれほど寛大だとは思わなかった。
普段ならば再起不能に陥るほど徹底的に叩かれる事例だと思う。
ネットユーザーが寛大な理由
ネットユーザーが、UCCに対して非常に寛大だったのは理由がある。
それは、UCCが社長みずから「すべての情報を正直に出して謝罪する」と決めてキチンと謝罪したからだ。
そしてスグに謝罪文をPDFで公開。「HTML版は無いの?」というユーザーのつぶやきに気づきHTML版も公開した。
自社の失敗に対して真摯に向き合い、迅速かつ適切な対応を行い、キチンと謝罪したからこそ多くのネットユーザーは寛大な気持ちになったのだと思う。
また、トラブル発生の数時間後には社長に報告が届き、社長自ら対応を決めるという危機管理体制も高く評価されているようだ。
参照:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1002/09/news081.html
誰にだって失敗はある
誰だって失敗することはあるし、失敗から学ぶ事の方が、成功体験から学ぶ事より有意義だったりするものだ。
そして、UCCは自らネットテラシーが不充分だったことを認めたうえで謝罪したので、今後は同じような失敗は犯さないだろう。
BOTを使ったスパムなんて迷惑行為だし、法令順守という意味でも問題が無いわけじゃないが「理解していなかったのではしょうがない。大事なのは同じ失敗を繰り返さない事だ。」と、ユーザーが寛大な気持ちになるのもうなずける。
UCCにとってもいい経験になったと思うし、我々ユーザーも大変参考になったと思う。
ネット上で炎上することはよくある事らしいし、一部には悪意による書き込みもあるのだろうが、大半の人は正義感から書き込んでいるので、キチンと対応すれば思いのほか寛大なんだという事が判った。
私自身、非常に良い勉強になったと感謝しています。
比較してみる
あまり比較したく無いのですが、二つともタイムリーな話題なので比較してみましょう。
先日の田村参議院議員の失敗と、今回のUCCの失敗の原因は、どちらもネットテラシー不足が原因だと思う。
インターネットは従来型の一方通行的な情報発信では無く、発信すればダイレクトに反応が返って来るという事、WEBサイトはサイバースペース上にあるが、閲覧しているのはリアルスペースにいる人たちだという事を理解する事、事実と虚偽の情報が入り混じった世界なので、正しくい情報を選択できる事などは、必要不可欠なネットテラシーだと私は考えています。
閲覧・書き込みだけでは、充分なネットテラシーとは言えない。
両者とも必要なネットテラシーが欠如していた為に、騒ぎが大きくなったのだといえるでしょう。
ところが、この両者は全く違う対応をした。
田村議員は逆ギレして「本名も名乗らずに無礼な発言する卑怯(ひきょう)者はブロック当たり前だ!お前らこそ卑怯者だ!本名名乗ってから文句言え!」と反論し、火に油を注ぐ結果を招きました。
結局つぶやきを削除する事になったし、公式ブログはつながり難い状態になっていた。
最悪の対応だったといえるでしょう。
UCCは、自らツイッターの特性を理解していなかったと謝罪した。
その対応も迅速かつ真摯に行われた為、逆に評価は高まったのです。
この二つの事例を比較検討する事で、これからもインターネットに関わっていく為にはどうするべきかという事が、なんとなくではあるが理解出来たような気がします。