メディアのクロスオーナーシップが何故いけないのか

原口総務相が、メディアのクロスオーナーシップを規制したいと言い出した。

いままでメディアの露出が多く、メディア迎合型だと軽く見ていた原口氏が、メディアが一番恐れている部分に言及した事は、評価出来ると思っている。

その事は、以前に少し触れたんですが・・・
http://d.hatena.ne.jp/kunitaka/20100115/1263542747

メディアのクロスオーナーシップが何故いけないのか

恐らく「それはいい事だ。是非進めてくれ。」と考えている人と、「何がいけないのか判らん」という人がいると思うんです。

ですから私なりに説明したいと思います。

メディアは事あるごとに、言論の自由報道の自由表現の自由を主張しますが、メディアのクロスオーナーシップこそ、言論、報道、表現の自由を阻害する行為だからです。

なぜなら、新聞で読んだことがテレビのニュースで取り上げられ、新聞とテレビが同じ論調であったら、視聴者は「みんなそういう考えなんだ」と誤解してしまいます。

そして、各メディアが一方向からのみの評価し報道すれば、事実は一方からのみの論点で統一されてしまいます。コレは報道と呼べるものではなく、明らかなる洗脳行為です。

一つの事件に関して感じる事は、人それぞれ違うもので、似ている場合も在れば、全く違う見方だって存在するんです。十人十色の感想があるべきなんです。

ところが、新聞とテレビという二大メディアが、同じ論調で偏った報道をすれば、視聴者はメディアの論調のみが真実だと刷り込まれてしまいます。

メディアが意図的に、世論を作り出すことも出来るし、誘導する事だって出来てしまいます。

クロスオーナーシップによって、メディアが意図的に偏った報道をしているとまでは言いませんが(思っているけど、口に出して言わないって事)、クロスオーナーシップを容認したら、新聞とテレビが同じ企業団体の論調に偏ってしまう事は避けられない。

誰だって自分に意見が正しいと思っているし、一企業の中で事件を評価する場合、考え方が似ている人ばかりで評価するので、どうしても偏ってしまうんですね。

そして、視聴者は偏った情報のみを提供されインプットするので、アウトプットも自ずと偏ってしまうんです。


そのような弊害を極力少なくする為に、クロスオーナーシップを規制するべきだと考えます。

昨今では、インターネットの普及に伴い、いろんな人が様々な考え方をアウトプットする為に、メディアがリリースする情報が偏っていると気づく人が増えましたが、まだまだ情報ソースとしては新聞やテレビほどの信憑性はありません。



新聞だけでなくスポンサーも規制するべき

1880年ニューヨークタイムズ紙の記者・ジョン・スウィントンは、新聞記者とは真実を捻じ曲げ、スポンサーの利益になるような報道を繰り返し、視聴者を裏切り続ける存在だと主張しています。

自らを批判するジョン・スウィントン記者のジャーナリズムを私は大変高く評価しているんですが、百年以上経過した今日でも、メディアの体質は殆ど改善されていません。

未だにスポンサーの利益優先で報道し、スポンサーからのお金で自らの会社を経営し、給料を得ているんですね。

私はジョン・スウィントン記者の「われわれ(新聞記者)は、知性をひさぐ娼婦なのです。」という言葉に感銘を受けたし、その通りだと思っています。

しかし、残念ながら未だに改善されていません。新聞もテレビも雑誌もラジオも、総てスポンサーの顔色を伺いつつ運営されていますよね。

という事は、メディアのクロスオーナーシップを禁止するだけでは、現在の偏向報道は改善されません。

スポンサーにも何らかの規制を設けなければ、今までの偏向報道は改善されないんです。

原口総務相には、その点もシッカリ考えて頂きたいと思います。



原口総務相は大丈夫か

原口大臣のクロスオーナーシップ禁止案には大賛成なんですが、コレは非常に危険な考えだという事も事実です。

報道内容を政府が規制するような状況を招きかねないです。

その事を心配する人は多いと思いますが、私はもうひとつ危険を感じています。

既存メディアによる原口バッシングです。

大きく報道されることはありませんでしたが、自民党政権時代に自民党内から「電波利用料がテレビやラジオは優遇されている」という指摘が出た事がありました。

実際にテレビやラジオの電波利用料は優遇されています。携帯電話やアマチュア無線と比較すれば一目瞭然です。

営利目的であるにも関わらず、携帯電話やアマチュア無線より負担額が少ないなんて、ありえない話だと思いませんか。

携帯電話が普及したといっても、テレビほど普及しているとは思えません。

電波使用料に関しては、昔から不公平だと指摘されていたんですが、政権与党から不公平感を指摘されたら、自民党を批判する報道が急激に増えました。

メディアは自分達の既得権益を守る為に、世論を操作し始めたんです。

原口総務相クロスオーナーシップ禁止を主張しても、メディアで大きく扱われることは無く、握り潰された上に政府批判を繰り返す事になるでしょう。


そして、原口氏はメディアの世論操作で潰されてしまうでしょう。

本当に改革すべきなのは、日本(だけじゃないけど)のメディアであり、金の力で報道を歪曲させてしまうスポンサーなのです。


クロスオーナーシップ禁止とスポンサーに対する規制を同時に行わなければ、ただのザル法になってしまうことは明白です。