行政刷新会議の事業仕分け作業が終わった

事業仕分け終了

行政刷新会議事業仕分けが終わった。

全9日間で449事業の仕分けを行い、約2兆円弱の予算の無駄を絞り出したという事ですが、本当にそうなのか疑問に思います。


次世代スーパーコンピューターの開発費やオリンピック選手の強化費用など、必要じゃないのかと思われるものにまで厳しい追及がなされた。

事業仕分け作業の目的が、国家予算に合わせて優先順位を決め、優先順位の上位から予算を確保し、下位の物については予算をカットする。という趣旨だったのなら、今回の方法で行ったほうが良いだろうが、今回の事業仕分けは「無駄を省く」という趣旨だったはずです。


仕分け人たちは、この違いが理解出来ていただろうか。

「仕分け人の選考にも問題あり」という印象が否めない。

無駄を省くと言う作業は必要不可欠なんだけど、仕分け人達の話を聞いていると、無駄を省くと言うよりも、初めから「廃止、予算カットありき」の仕分け作業だったように思う。



次世代スーパーコンピューター問題

次世代スーパーコンピューター問題の「なぜ一番じゃなきゃいけないんですか。二番じゃダメなんですか。」という質問には、仕分け人達のド素人感覚が見え隠れしていた。

一番じゃなきゃダメって事は無いんだけど、一番を目指さなきゃ世界に通用するレベルに達しないという事が理解出来ていないのだ。

きっと、長崎大学工学部の国内最速のスーパーコンピューターを開発と「ゴードン・ベル賞」の受賞を聞いて、「ほらやっぱり低予算で出来るじゃないの」って思っていると思うのです。

ちなみに長崎大学工学部が開発に要した費用は、3800万円だった。


「ほら!267億円も必要ないでしょ!」って勝ち誇った蓮舫議員の顔が浮かんできそうです。

汎用性という事に考えが至ってないだろうからね。


今回開発された(というか組み立てられた)スパコンは、気象予想とか耐震性の評価とかには、不向き・・・というか無理かも知れない。


そもそも今回評価されたのは、大量のGPUをリンクさせるためのプログラムなんじゃないのかと思うのです。

専門家じゃないから、詳しい事は判らないが、国が欲しがっているスパコンと、今回開発されたスパコンは、かなり違うものだと言う事だけは良くわかる。

今回開発されたスパコンは専用機で、国が欲しがっているスパコンは専門機をしのぐほどの汎用機。

限られた用途なら、恐ろしく早い演算を行うが、専門外だと殆ど使えないのが今回開発されたスーパーコンピューターで、国が欲しがっているのは、多種多様な用途を持つコンピューターなんですよね。

まあ、スパコンの開発費用ばかりが脚光を浴びたんですが、他にも問題ありそうな決定が多数なされています。


スーパーコンピューター問題ばかりが注目されて、他の重大な決定に注目が集まらなかったのも問題ありかな。

これはメディアの問題だと思う。



仕分け人の我田引水

オリンピック強化費用も、大事の前の小事って気がします。

私が今回一番カチンと来たのは、自衛隊員の制服の件だった。


26日の議論で仕分け人から「外国製も含め柔軟な購買を」との意見が出たのだが、なぜ国産より外国製なんのだ。

国産ならば、その購入費用は国内の市場で循環するが、輸入品を購入すれば日本の金が海外に流出する。

表面上は費用削減したように感じるかも知れないが、国単位で考えると無駄遣いって事になる。

個々の買い物と国家間の買い物の違いを理解していないのか?と疑問に思い、仕分け人を良く見たら、●●商事□□というテロップが目に入った。


要するに民間の仕分け人という名目で、総合商社の人間が発言していたのだ。

なるほど・・・要するに、国内製の制服だと商社の利益が限られてくるし、下手したら業者と自衛隊の間で直接取引されて、商社の儲けはなくなるのだ。

外国製という事になれば、総合商社はたっぷり利益を得る事が出来る。

我田引水の見本のような発言だった訳だ。

仕分け人の選考に問題があるし、中継されているのに、よくもまあ堂々と我田引水発言が出来たものだと、この商社マンの面の皮の厚さに呆れた。

商社マンの我田引水ぶりに憤慨したのは、私の個人的な感情かもしれませんが・・・



国益と国民の生命財産が軽視されている

重大だと感じたのは河川管理費の予算削減だ。

この問題は、作りかけのダムの問題より深刻だ。


我が国では河川の氾濫による被害は激減していますが、昔は台風や大雨のたびに河川が氾濫し、大きな被害を出してきた。

だから河川改修などを定期的に行う事によって、被害を未然に防いできたのだ。


歴史上、名君と呼ばれる先人達は、治水事業に力を入れ、土地を豊かにしてきた。

急流の河川が多い我が国では、治水能力こそが政治能力といっても過言ではない。


この河川管理費が10〜20%削減された事で、今回の仕分け作業では、国民の命や財産の重要性が軽視されていると思う。


まあ、妥当だなと思う廃止や見送りもあったので、全てを否定する気はないし、無駄を無くそうと言う努力は評価したい。

しかし財務省主導で行われた事と、国益、国民の生命財産などが軽視されていたという事は、今後に禍根を残す事になるだろう。

仕分け人達の選考が不充分であったし、仕分け人達の能力にも問題があった。

その事だけは、今回指摘しておきたい。