衆院本会議
衆院本会議で羊頭狗肉
衆院本会議の質疑で、谷垣禎一自民党総裁は民主党のマニフェストを羊頭狗肉と痛烈に批判した。
羊頭狗肉とは「羊の頭を看板に掲げて、狗肉(犬の肉)を売る」事を言います。
見かけ倒しという意味もあります。
政権発足後40日
新政権が発足して40日が経過した訳ですが、そろそろ民主党政権に対する世間の目が厳しくなりつつあります。
前原国交相や亀井大臣の発言や行動がメディアで取り上げられる事は多いのですが、他の大臣達の行動が伝わってこない事も不満なんですよね。
鳩山総理
鳩山総理は、相変わらず原稿をよく読んで答弁していました。間違えてもらっては困るので、原稿をよくみるって事は大切だと思いますが、鳩山氏は麻生前総理が原稿を読むことを批判していたので、不快に感じている人も多いでしょうね。
私は今回、日本郵政の社長人事問題と、マニフェストが実行できなかった時の責任のとり方に注目していた。
マニフェストの実現について
鳩山総理は、マニフェストは今後4年間で実現すると明言し、「実現できなかったら政治家としての責任をとる。」とまで言い切ったが、谷垣氏が求めた具体的な責任のとり方には触れなかった。
4年間でマニフェストが実現出来なかったら、政治家として責任をとると言い切ったのなら、責任のとり方を明言するべきなんですよね。
4年間でマニフェストが実現出来なかった場合名は、潔く議員辞職するのか、民主党代表を辞任するだけでお茶を濁すのか。一体どういう責任のとり方をするのか明言していないので、質問に答えたとは言えないんですよ。
鳩山総理は、責任をとるといいながら、責任のとり方についての説明責任から逃げたんです。
野党は今後も具体的な責任の取り方について、追及するべきです。
故人献金の問題も説明責任から逃げて「第三者に調査を委託した。」と述べただけだし、不利な事から逃げ回る総理では話にならないので、総理には逃げずに説明責任を果たして欲しい。
鳩山総理の不透明な献金については東京地検が捜査をしているので、最終的には地検の捜査結果が重要視されるでしょうが、一国の総理ならば堂々と説明責任を果すべきだと思います。
経済政策
経済政策に関しても「経済成長より暮らしを優先する」と述べただけで、具体的な経済政策には触れなかったし、「政治は弱い立場の人のためにある」と非常に立派な発言をした割には、具体案が一切出てこないという矛盾した答弁だった。
「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズを連呼するだけで、一切具体案に触れないのは「実は具体案が全く無いんじゃないか?」と疑念を抱く。
判断基準
「不要不急の政策は中止する」と明言するも、具体的な判断基準には触れないという答弁では、誰も納得しないだろう。
不要不急の判断基準はなんなのか、ちゃんと国民に説明するべきだと思う。
埋蔵金
谷垣氏の「埋蔵金というフィクションで世の中を欺いた」という批判に過剰に反応し、「あなた方は埋蔵金など無いといっていたじゃないか」と論点のずれた答弁を展開する。
自民党が無いと主張しているものを、民主党は「ある」と言い張ったから、フィクションだと言っているので、谷垣氏の質問にはなんら矛盾は無い。あくまでも無いと言い切っているのだ。
この事に過剰に反応したのは、埋蔵金を発見出来ない、または本当にない事が判ったからではないだろうか。
それとも鳩山総理は「フィクション」の意味が判っていないのか?アメリカに留学経験がある総理が、フィクションの意味が判らないという事は無いはずだから、埋蔵金問題を見つけられないが故の焦りや苛立ちが過剰な反応になって現れたと考えるほうが自然だろう。
温室効果ガス25%削減発言
谷垣氏の「中国や米国が参加しなければ、日本だけが25%削減しても効果が少ないんじゃないか」という質問に、「25%削減の条件として、米国・中国の合意が前提だと言った。」と答弁していたが、この答弁で鳩山氏の真意がわかったような気がした。
要するに「目標として掲げただけで、中国や米国が合意する訳が無いんだから、我が国も25%削減を実現する必要はない」という事である。
「なんだ〜なるほどね。」と思う反面、国際的に宣言した以上は、中国や米国の合意が得られなくても、それなりの成果は求められるんじゃないかと思う。
この発言は問題だと思うけどね。
野党体質
しかし、鳩山氏には野党体質が染み付いているんですね。
民主党にはビジョンが無いと指摘されると、「そんな事をあなた方に言われたくない」と発言。
何を馬鹿な事を言っているんだろうか。
確かに自民党に言われたくないという気持ちは判るが、民主党は与党であり、ビジョンが無ければビジョンが無いと批判されて当然ではないか。
また、自民党は現在野党なんだから、自分達が出来ない事でも、与党が出来ていなければ批判するし、批判する事が野党の責任である。
与党になった瞬間から、全ての批判には耳を傾けるような真摯な態度が必要だ。「そんな事をあなた方に言われたくない」と発言した事は、鳩山総理に総理としての自覚や責任感が備わっていない証拠であり、民主党に与党としての覚悟や責任感が備わっていない証拠である。
まだまだ野党体質から抜け出せずにもがいている民主党の姿を浮き彫りにしてしまった。
長い野党生活で、野党体質が沁み込んでいるのだろうし、たった2ヶ月で切り替えできるものでは無いのかも知れないが、それでも自覚だけは持っていただかないとイカンと思う。
しかも「何を持って些事というのか判りませんが、些事に関しては官僚に任せても構わない」と訳が判らない答弁も展開していた。
何を持って些事というのか判らないなら、「些事に関しては官僚に任せても構わない」とは言えないだろ。些事がなんなのか判らんのだから。
日本郵政の社長人事
今日の答弁で一番拙かったのは、日本郵政社長人事についてだろう。
斎藤次郎氏について「大蔵省を退官して、14年間民間で勤務していた。」と嘘の答弁をしてしまった。
以前も書いたと思うが、斎藤氏が社長を勤めていた東京金融先物取引所は、2004年に株式化して民間会社になったが、株式会社化の前は大蔵省(現・財務省)の外郭団体である。斎藤次郎氏が会員制法人東京金融先物取引所の理事長に就任したのは天下りであり、今回の日本郵政(100%政府の持ち株会社)社長就任は渡りである。
株式会社化した後は民間で勤務したといえない事は無いと思うが、それでも実質5年間です。14年間民間で勤務というのは、明らかに虚偽の答弁という事になります。
こんな事は調べれば判る事なので、その場しのぎの嘘なんだけど、衆院本会議で虚偽の答弁をしたのは拙いと思う。
鳩山総理の嘘に対する野党の反応
少し話が変わりますが、ちょっと気になる事がある。斎藤氏の経歴については、調べればスグに判る事なので、野党・自民党は「東京金融先物取引所は、財務省の外郭団体じゃないか!天下りに渡りだろう!!」って批判するべきじゃないのか。
それなのに自民党は、東京金融先物取引所の事を追及する気配が無い。
なぜ追及しないんだろうと考えると、私の捻くれた感性がある疑惑を感じた。
簡単に追及出来る事を、なぜ自民党が追及しないのか?
「もしかしたら、自民党にも東京金融先物取引所が注目を集めると困るような秘密があるんじゃないか」という疑惑です。
それだったら、なぜ鳩山総理が堂々と虚偽の答弁をしたのか?という疑問も納得出来る。自民党にも東京金融先物取引所を公にしたくない秘密があり、鳩山総理の虚偽の答弁を追及出来ないと判断したのだろう。
東京金融先物取引所には、自民党も民主党も公に出来ない秘密がある可能性が浮上した。
国会中継
私が国会中継を見ていたのは、谷垣議員と西村議員の代表質問とその答弁までで、公明党の質疑以降は見ていなかったので、その後の質疑・答弁に関する事は判りません。
ただ、何点か気になる動きがあった事は紹介したいと思います。
鳩山総理は答弁の最中、何度か話を止めて、民主党の方を見る。すると一斉に民主党議員たちが拍手を始めるシーンを二度ほど確認した。明らかに何らかの取り決めがあり、鳩山総理の合図で民主党議員が拍手をするように決めてあったんだと思う。
独裁国家じみた反応で、気持ち悪かった。
また、亀井氏と菅氏以外の大臣、福島みずほ少子化担当相と前原国交相の答弁が「内閣の一員ですから、内閣の方針に則って」という内容で、言葉も少なかった事が気になる。両氏とも雄弁家なのに、明らかに不自然だった。
しかし、亀井静香氏の答弁の態度は非常に悪いね。悪党顔だし、答弁の内容も「概算予算請求は、方針に則って決めるもので、総額をあらかじめ決めてからやるものではない」とゆっくりと話していたが、どこぞの親分のような態度だった。
新政府のためにも早めに更迭する事をお勧めします。
菅副総理の答弁は、声は大きかったのだが、具体的な内容に乏しく、鳩山総理以上に野党体質だった事がわかった。
とにかく抽象的で、不明瞭な答弁
総理や閣僚たちの答弁は、呆れるほど抽象的で不明瞭な答弁が多かった。
具体案など全く出てこない。
発足して40日が経過しても、いまだに具体案が出てこない政府って問題だと思います。
今日の答弁は、評価出来る内容が皆無だった。
ただ、民主党の議員や新政府の閣僚達が示し合わせて拍手をしたり、答弁していた。
政府内の見解が一致していないため、福島少子化担当相や前原国交省には「いらん事をしゃべるなよ」と命令が出ていた可能性が高い。
新政府は独裁色の強い政府だという事は間違い無さそうだ。