新しい内閣

鳩山内閣が誕生して、新しい閣僚が大勢誕生しました。

新大臣については、個人的にかなり不満な人事になったが、組閣して早々に批判する事は避けて、新内閣の評価している点から考えて見たいと思います。

国土交通相 前原誠司

私は、新政府の一番の問題点は国土交通省だと考えていた。

今回の民主党マニフェストで話題になった「高速道路の無料化」「八ツ場ダム、川辺川ダム建設中止」「整備新幹線整備」など、一筋縄では解決しない問題が多かったからです。

個人的には、前原誠司という政治家は若いのに有力な議員だと評価している。若さゆえに少々細かすぎる印象が強いが、メリハリの利いた政治家です。

欲を言えば「大国を治るは小鮮を烹るが若し」という老子の言葉を理解して国土交通相の仕事をして欲しいと思っています。

ダム建設中止

ダム建設は無駄の象徴のように報道され、ダムの建設中止は無駄を削減する政策と評価されていますが、本当にそうなのか疑問が残ります。

必要なダムもあるだろうし、すでに目的を失ってしまったダムもあるでしょう。

必要なのか不要なのかの見極めが極めて重要です。

ダムの建設中止で一番慎重に考えなければならないのは、どの時点まで工事を進め、その後の国土保全および自然災害等の被害拡大を防ぐ為の工事を行うかという事です。

恐らく新政府の要人のなかで、ダム建設を中止した場合に熟考しなければならない問題に気がついている人は、少なかったと思います。

鳩山氏や小沢氏は永年の経験で理解していたと思いますが、他の民主党議員では前原氏他数名が気がついている程度だったと思います。

ダム建設中止による問題点

多くの人がダム建設を中止さえすれば、今後建設費として税金を垂れ流す必要が無くなると考えていますが、実際は中止しても継続的に税金が使われる事になります。

単純に中止して放置した場合、その後どんなリスクがあるのか考えて見ましょう。

1・ダム建設中止が決まる。
2・建設現場はそのまま放置される
3・大雨などの自然災害による土砂災害発生、拡大
4・下流域では深刻な被害が出る

ダム建設中止は、最悪の場合このような被害の要因になります。

被災者やメディアは「ダム建設中止による人災だ!」と騒ぐでしょう。
もちろん私も、このような事態になれば人災だといわれても当然だと思います。

ダムの建設中止を決める前に、中止して災害防止の工事を行う費用を試算する必要があるのです。ダムの完成までの費用と、災害防止対策費用を比較して、どちらがより現実的なのか。また少ない予算で済むのかを調査して判断する必要があります。

マニフェストに掲げたから「とりあえず中止にすれば良い」という単純な問題ではありません。

高速道路の無料化

高速道路の無料化は、経済効果を生み出すほど効果がある政策なのかどうかは疑問です。

渋滞の緩和対策を検討する必要があるし、受益者負担(高速道路を利用する人が負担する)という観点からも疑問が残ります。

高速道路を利用しない人には実質増税になるし「何処が生活重視なんだよ。」って感じる人が多いはずです。

道路のメンテナンスも必要だし、もしメンテナンス不足が原因で交通事故が発生したら、これも「人災」だと批判の対象になるでしょう。

民主党マニフェスト

民主党マニフェストを見て「財源が明確になっていない。」と指摘する人が多かったですが、多くの人は高速道路の建設費用と、借金の返済ばかりに注目が集まっていたと思います。

その上、道路の維持管理費用まで考えると民主党の財源問題は、これまで以上に指摘されるところだと考えています。

道路建設の借金返済費用として財源を指摘する人もいますし、「自民党時代の借金だから責任は自民党にある」という人も居ますが、私からみればどちらも正しくありません。

道路建設に借金をしても、道路と言う資産が出来上がっているので、建設費用は借金と試算で相殺されるべき費用だと考えるべきです。

よって道路における維持管理費用(ランニングコスト)が正味の借金だと考えるべきなんです。

借金返済の予算は一時凍結して、当面は維持管理費用捻出だけを考えれば良いと思います。

国土交通相の仕事

今後、国土交通相に求められる仕事は、マニフェストに拘らず、一から見直しをして正しい選択をするという事です。

その点、前原氏は新政権の大臣候補の中で唯一その正しい判断が出来る人材だと考えていたので、今回の組閣で一番評価が高い人事だと考えております。

前原氏の手足となって働く人材に恵まれるかどうかという問題が残りますが、充分評価に値する人事だったと思います。