尖閣問題で本当に反省するべきなのは、中国に生産拠点を移した企業の経営陣だ

香港の活動家を名乗るならず者どもが、尖閣諸島魚釣島に上陸した事件ですが、日本政府は中国政府に配慮して強制送還にする方針のようだ。

「日本政府は中国に舐められすぎ!」という世論が多いようだが、日本政府には強制送還以外の選択肢は無かったと思います。

普段から「民主党なんてクソ食らえ!」と思っている私でも、今回の対応は「他に選択肢がないからな」と納得せざるを得ませんでした。

今回の政府の対応を「腰抜け」「腰砕け」と野党が責めるなら、自民党が骨の髄まで野党に成り下がったと評価せざるを得ないでしょう。

何故このならず者どもを日本の裁判にかける事が出来ないかったのか?それにはちゃんと理由があり、みんな(特に企業)がちゃんと理解してないといけないと思うんですよね。

ならず者を逮捕して留置所送りにした場合

まず、不法入国なので逮捕して留置所送りにした場合の中国政府の対応を考えて見ましょう。

中国政府は日本政府に「不当逮捕だ」と抗議します。

そこで釈放されなかった場合、今度は中国国内にいる日本人をデタラメの容疑で逮捕します。

そして冤罪で逮捕した日本人を人質にして、ならず者の返還要求をし「不当逮捕だから賠償金をよこせ!」と要求してきます。

中国政府は、中国の活動家が十数名死刑になっても痛くも痒くもありません。中国には人権なんて存在しません。ところが日本の場合、一人でも邦人が死亡するような事態になれば大騒ぎです。日本政府は「なぜ日本人を見殺しにした?」と責められるでしょう。

死亡しなくても、人質が尋問という名の拷問に掛けられているのは明白ですから、救済が遅れただけで大変な騒ぎになります。

そうなれば政府は渋々逮捕者を釈放し中国に送還しなきゃいけなくなるし、巨額の賠償金も支払う事になるでしょう。

そうなる前に、現時点で強制送還したほうがダメージが少ないです。

企業も利益ばかり考えずに、社員の命は会社が守るように心掛けるべき

私自身は「日本人労働者に見切りをつけ、労働単価の安い中国に生産拠点を移した会社の為に、なぜ日本人の税金が使われなきゃならないの?」とさえ考えています。企業は自らの判断で中国に生産拠点を移したのであり、中国の生産拠点にいる日本人従業員の命は企業が守るべきです。まさに自己責任です。

ところが、日本の企業って、労働者には自己責任を押し付けるくせに、自分たちの自己責任については認めないんですよね。まったく虫のいい話ですが、現実にそういう対応しかしません。

中国人活動家の逮捕をキッカケに、中国政府が日本人を冤罪で逮捕し、逮捕された日本人が拷問の末に死亡に至った場合、企業は「国の対応が悪かった」というでしょう。

企業が日本人労働者を見限って海外に生産拠点を移したんだから、そうなった場合は企業の自己責任だ。だから香港の活動家が尖閣諸島に向った時点で、中国にいる日本人従業員を早急に日本に呼び戻すべきです。

その程度の危険予知すら出来ないのが、高度成長で甘い汁を吸い続けた団塊の世代の特徴で、ある意味「ゆとり世代」よりも甘えた世代なんですよね。他人には自己責任を押し付けるくせに、自分たちは国に守ってもらって当たり前という甘えた思考回路。そして、その甘ったれ共が多くの企業のトップに居座っているというのが日本の現実です。

「日本人労働者を見限って、海外に生産拠点を移した時点で、日本国の保護下ではない」という自覚のなさ、覚悟のなさが今の日本企業の経営陣の特徴であり、甘ったれた団塊世代を雄弁に物語っています。

企業も利益ばっかり追求せずに、危機管理くらいは自己責任で行うべきでしょう。

しかし、現実には「日本政府の対応の拙さ」を主張して責任逃れするのは明白で、メディアもスポンサー様の言いなりで政府の対応の拙さを繰り返し主張するでしょう。

そうなりゃ世論もメディアの情報操作に踊らされますから、政府にとっては正に四面楚歌に追い込まれます。

そういう現実を考慮すれば、「折角逮捕したけども、強制送還という玉虫色の解決でお茶を濁す」しか選択肢が残されていません。

今回の政府の対応は、他には選択肢のない対応だったと言えるでしょう。

今後の対応

以上の事を踏まえ、今後は中国での経済活動は自己責任という事を周知徹底する必要があると思います。

そもそも自分達を見限って、労働単価の安い中国に生産拠点を移した企業を、我々の税金で救済する必要なんてないんです。企業の社会的役割は、利益を上げて税金を納め社会に貢献する事ですが、同時に雇用を拡大し、多くの人に仕事を提供する事も重要な役割りです。

利益の追求と雇用拡大は企業の役割りなんです。この二つは車の両輪の如く常にバランスをとっていなければいけないものです。ところが、近年は利益の追求ばかりが重要視され、雇用拡大という理念は忘れ去られつつあります。

そして、その結果が現在の状況であり、尖閣に不法上陸したならず者を日本の法律で裁けない要因になっています。

政府の対応が「腰抜け」「腰砕け」と批判する前に、中国で経済活動している企業が、キチンと危機管理を行い、有事の際は・・・というより、危機が起こる前に速やかに日本人従業員を避難させるような仕組みを作る事が重要です。

今回の問題で一番問題視されるべきなのは、甘ったれた団塊世代の経営陣の危機管理能力の無さです。企業がキチンと危機管理を行い、速やかに日本人従業員を日本に避難させていれば、今回のような外国の侵略行為にも毅然とした対応が出来るのです。

今回の件では、政府の対応よりも企業の危機管理能力の無さが責められるべきです。