鯨の肉は美味いから食うんだよ その2

昨日は、鯨の肉が美味いから「俺は今後も鯨を食うぞ!」と宣言したんですが、鯨を食す文化が廃れてから何年も経つので、鯨の美味さを知らない世代や、学校給食の不味い鯨のイメージしか持たない人が多くなっているようなので、今回は鯨肉の魅力について書いてみたい。



個人的に好きなランキング(鯨肉編)

第十位は尾羽ですね。鯨の尻尾ですが、ゼラチン質で味は非常に薄い。スライスしてボイルすると縮れる。酢味噌で食べる事が多いが、鍋に入れると美味い。



第九位は赤身。一番ポピュラーな部位ですが、捕鯨基地が近かったこともあり、幼少のころから慣れ親しんだ味です。新鮮な赤身は刺身が一番美味い。生姜醤油で食べたいですね。

また、学校給食の「鯨の竜田揚げ」として食べた人たちの中には硬い、臭いという悪い印象を持っている人が多いが、これは肉の処理の問題と筋の処理の問題が大きい。

キチンと処理をすれば、刺身でも竜田揚げでも、塩漬けにしても美味いですよ。



第八位はコロだ。私は九州は佐賀県の出身だが、若い頃大阪にいたので、大阪のおでんには欠かせない味として、コロは好物である。マッコウクジラの皮と油の部分ですが、油で揚げてから乾燥させたものが流通している。

おでん種としてはさえずりより好きです。そのほかにも、油かすとして料理に使うし用途は多様ですね。



第七位はうねですね。酢味噌やポン酢で食べるが、個人的には山葵醤油がいい。鯨の部位で山葵で食べたいのは、このうねだけだ。


このうねには、たっぷりと須の子ついていたほうがいい。皮・うね・須の子という三層構造で流通していると思うが、その場合はうね須と言うが、私たちは「うね」とか「うね鯨」と呼んでいる。



第六位は須の子ですね。胸ビレの付け根辺りの肉ですが、一頭の鯨からホンの少ししかとれないらしい。希少性が高く高価。味的には五位の鹿の子より美味いと思うが、なかなか入手出来ないし、食べる機会が非常に少ないので順位を入れ替えました。刺身でも鍋でも美味い。



第五位は鹿の子だ。鯨の下あごの部分だ。尾の身より少し硬い食感ですが、油が多く、見た目が美しい。鹿の子は刺身にして生姜醤油で食べたい部位ですが、薄くスライスして鍋にしても美味い。私は刺身で食うけどね。

しかし鍋も捨てがたいなあ〜



第四位は、さえずりです。大阪のおでん種としてはコロと並んで不動の地位を確立している。

しかし、私はボイルしたさえずりをスライスして、刺身で食べたい。これもおろし生姜とポン酢で食べたい部位です。

独特の食感があるが、鯨の舌ですから、根元の方と先端の方では違う食材のような感じで、味も少々異なる。牛タンもそうだが根元の方が美味いと思う。



第三位は百ひろである。元々はお祝いの席で出されるものだったそうだ。そう言えば昭和40年代にはお正月の料理だったと記憶している。

ぷりぷりとした食感が魅力の部位です。鯨の小腸だと思うが、長さが百ひろあるから百ひろというらしい。

一ひろは、両手を左右に広げた長さ。釣りをする人ならピンと来ると思うけど、一応説明してみた。



第二位は尾の身だ。尾の身の刺身は絶品である。

見事な霜降り状の身は、他の獣肉(鯨は哺乳類)の追随を許さない。

人気も値段も非常に高い。

鯨の尾の身は、刺身にして生姜醤油で味わって欲しい。個人的な感想だが、鯨は獣肉なので山葵よりも生姜やおろしニンニクの方が合うと感じる。私は断然おろし生姜派です。



堂々の第一位は、豆ワタである。私はこの豆ワタが一番好きだ。鯨の腎臓らしいが、この豆ワタの味と食感は至福である。わさび醤油や生姜醤油で食べるのもいいが、私は摩り下ろした生姜とポン酢で食べたい。

この部位が好きな人は少ないと思うが、私の個人的なランキングでは堂々の第一位だ。人気の尾の身よりも好きなのである。出来れば辛口の日本酒とともに楽しみたい。

ただ、すこしパサつく感があるのも事実なので、他人にはお奨めしない。

それに、人に薦めるくらいなら「グロテスクだから、初めての人には抵抗があるよね。」などと言いつつ自分で独り占めしたい。



番外編

鯨の軟骨を粕漬けにしたものが、唐津周辺の「珍味・松浦漬け」です。コレは酒のアテにチビチビやってもいいし、あったかいご飯に乗せて食べても美味い。




皮・・・「皮は、牛肉の代わりにカレーに入れると滅茶苦茶美味い」という人がいたが、私はまだ試した事がない。いつか作ってみようと思っている。