飲酒と自殺の因果関係について

引用:Yahoo!ニュース
自殺者2割にアルコール問題=大半が40〜50代−国立精神・神経センター 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090908-00000171-jij-soci
 国立精神・神経センター自殺予防総合対策センターは8日、自殺者の23%がアルコール依存症など飲酒にかかわる問題を抱えていたことが、遺族への聞き取り調査で分かったと発表した。同センターは「日本ではこれまで、自殺とアルコールとの関連があまり指摘されてこなかった」として、自殺防止のためアルコール問題の対策強化が必要だと訴えた。

 同センターは2007年度から今年度末までの3年間に、自殺者100人について、自殺までの経緯を調べる計画。これまでに集計した43人のうち10人にアルコール依存症か、飲酒により周囲とトラブルを起こすなどの問題があったことが分かった。

 10人は全員が30歳以上の男性。大半が40〜50代で、自営業者が多かった。1日の飲酒量の平均は、日本酒に換算して3.5合。不眠状態で、眠るために飲んでおり、自殺時に飲酒していた人も4人いた。また、多くが離婚や借金のトラブルに見舞われ、6人がうつ病などの精神障害を併発していた。

この調査に対する疑問

飲酒に関わるトラブルと、自殺の因果関係を証明する為には、自殺した人の実態調査だけでは調査不足だと思う。

自殺に至らなかった人の飲酒に関わる問題の実態調査結果が必要だという事を主張したい。

自殺した人の飲酒に関わる実態調査だけだと、比較するべき対象が無い為に飲酒に関わる問題の有無と自殺の因果関係の証明にはならないと思うのです。

そこで国立精神・神経センター自殺予防総合対策センターのWEBサイトで詳細を確認しました。

参照:http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/index.html

アルコール問題と向き合う
 私たちは現在、全国の都道府県・政令指定都市の協力を得て、心理学的剖検の手法を用いた、自死遺族からの聞き取り調査(「自殺予防と遺族支援のための基礎調査」)に取り組んでいます。その調査のなかで、中高年男性の自殺に、アルコール問題が大きな影響を与えている可能性が見えてきました。
 自殺既遂者の23%に、死亡1年前にアルコールのために仕事に支障が出たり、家族を心配させたり、内科疾患を呈するといった現象が認められましたが、そうした方はいずれも仕事を持つ中高年男性でした。
 また、死亡前にアルコール問題を呈していた方は、その大半が、死亡前にアルコール依存症に該当する状態にあり、同時にうつ病にも罹患していました。精神科治療を受けていた方もいましたが、アルコール問題に対する援助を受けていた方はいませんでした。また、借金や離婚などの困難な社会的問題を抱えていた方や、夜眠るために飲酒する方が多く見られ、さらに酩酊した状態で最後の行動におよんだ方も少なくありませんでした。
 海外では、アルコール依存はうつ病と並んで自殺に関係する精神疾患として知られています。また、多くの国で国内アルコール消費量は男性の自殺死亡率と正の相関関係にあります。
 アルコールは衝動性を高め、「死にたい」という気持ちを行動に移す危険を高めます。悩みを抱えた人がアルコールを摂取すると、自暴自棄的な傾向を助長します。また、不眠に対してアルコールで対処しているとかえって不眠が悪化します。さらに、つらい気分を紛らわすための習慣的な大酒はうつ病を悪化させるだけでなく、うつ病を誘発することもあるのです。
 私たちは、中高年男性の自殺予防のため、アルコール問題と向き合うことを提言します。

自殺予防総合対策センターのWEBサイトで確認すると、時事通信の記事の内容と異なる点が散見します。

特に結論の部分のニュアンスが異なるのは大問題だと思います。

自殺予防総合対策センターの結論が「私たちは、中高年男性の自殺予防のため、アルコール問題と向き合うことを提言します。」なのに対し、時事通信の記事では「自殺防止のためアルコール問題の対策強化が必要だと訴えた。」になっています。

「向き合うことを提言します。」と「対策強化が必要だと訴えた。」では、言葉のニュアンスが大きく違うと感じるのは私だけだろうか。

自殺予防総合対策センターの見解

自殺予防総合対策センターは、正式に飲酒に関わる問題と自殺の因果関係についての結論を出していない。

恐らく今後、私が主張するように「自殺に至らなかった人の飲酒に関わる問題の有無を調査して、自殺者と自殺しなかった人の飲酒に関わる問題の割合を比較して結論を出す。」だろうと推測している。

今回の時事通信の記事は、明らかに先走った報道であり、歪曲報道と断言したい。

飲酒による可能性

しかしながら、アルコールは衝動性を高め、「死にたい」という気持ちを行動に移す危険を高める事と、自暴自棄な傾向を助長する事、不眠に対するアルコールの摂取は不眠を悪化させる事、うつ病を誘発、悪化させる事は間違い無さそうなので、飲酒は適量を超えないように上手に飲むことが大事だという事は事実のようです。

酒は適量を守り上手に付き合うべきだという事は昔から言われている事なので、自戒の気持ちは忘れないようにしたい。